スーダン病院からMSF撤退
2024-07-12 17:25:13

スーダン紛争:首都ハルツームの病院からMSFが全スタッフ撤退、活動継続困難に

スーダン紛争:首都ハルツームの病院からMSFが全スタッフ撤退、活動継続困難に



スーダンで続く紛争の影響で、国境なき医師団(MSF)は、首都ハルツームにある支援先のトルコ病院から全スタッフを一時退避させることを決断しました。

トルコ病院は、外科手術や医療介入が必要な分娩、栄養失調児の治療などを担う、ハルツーム市内でも数少ない医療機関の一つです。MSFは約14カ月間、トルコ病院への支援を続けてきましたが、病院内外の暴力や妨害行為が相次ぎ、これ以上の活動を続けることは困難と判断しました。

MSFは、病院内外のスタッフに対する嫌がらせや脅迫、さらには殺害予告などの被害が相次いだとしています。今年6月には、スタッフが武装した集団に逮捕され、暴行を受けた事件も発生しました。

6月17日と18日には、負傷した戦闘員が病院に搬送された際に、武装勢力がMSFスタッフの寝泊まりする部屋にカラシニコフ銃を発砲し、スタッフに起きて治療するよう迫る事件も起きました。

MSFは、病院は患者の聖域であり、紛争当事者によって保護され、尊重されなければならないと訴え、スタッフの命を危険にさらすことはできないと強調しています。

さらに、昨年9月以降、スーダン当局がRSFの支配地域への医療物資や人道援助スタッフの輸送を禁じたため、トルコ病院のチームはこの10カ月間、休みなしで働き続けてきました。

交代要員が現地入りできない状況が続いたため、病院の稼働を維持するために、スタッフは心身ともに疲れ切っています。

MSFの撤退により、トルコ病院では外科手術が対応できなくなり、今後の運営も不透明となりました。過去1年間、トルコ病院はハルツームの医療体制の重要な一部として機能しており、MSFは産前・産後ケア、小児集中治療室、重度急性栄養失調児の入院栄養治療センター、ハルツーム州唯一の新生児室の運営を担っていました。

これらの活動は、MSFの撤退によってすべて中止されてしまいました。

MSFは、紛争当事者に対し、民間人と民間インフラ(病院やその他の医療施設を含む)を保護するよう強く要請しています。また、医療物資や人道援助従事者に対する前線通過に必要な許可が欠かせないとしています。

スーダン当局が人道援助団体に課している封鎖措置によって、多くの施設が稼働し続けることに苦労しており、ハルツームをはじめとする国内の数百万人の生命と健康が危険にさらされていると訴えています。

トルコ病院:MSFの支援で機能強化



トルコ病院は、2023年4月の紛争開始当初は、小さな産科と小児科を持つ病院で、救急室もなく、帝王切開を行う小さな手術室しか備わっていませんでした。

しかし、MSFが支援物資を寄贈し、病院の機能を拡張しました。手術室の能力を向上させ、救急処置室を開設、医療従事者の数も増やしました。

2023年8月には、産科と小児科の支援も開始し、トルコ病院はハルツーム市内では子どもと妊婦に専門医療を提供する唯一の施設となりました。

2024年1月から6月までに、トルコ病院は救急患者1万600人余りを、外来では成人1万1360人余り、小児7440人余りを治療しました。入院部門では243人の新生児、1670人の小児、1340人の成人を、産科では、6352件の妊婦の産前健診を実施し、1338人の赤ちゃんの分娩を介助しました。

MSFの支援により、トルコ病院はハルツームの住民にとって重要な役割を果たしてきましたが、紛争の激化によって、その活動は途絶えてしまいました。


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