被爆者・森田富美子さんの壮絶な物語
森田富美子さん(96歳)は、1945年8月9日に長崎で被爆し、両親と3人の弟を失った。彼女の体験は、戦争の現実を語る貴重な声として、多くの人々に響いている。長崎生まれ育ちの富美子さんは、爆心地から200メートルの距離で被爆し、そのトラウマを70年間語ることができなかったが、2000年にその経験をTwitter(現X)に投稿したことから、変化が始まった。
Twitterでの発信
富美子さんが自身の被爆体験を公にするきっかけは、当時の安倍首相のスピーチだった。この言葉が、彼女が抱えていた苦しみを語る勇気を与えたのである。「何も知らないから、知ろうとしないから」との思いから、彼女は自らの体験を発信し始めた。91歳でTwitterに初めて投稿を開始し、年齢を重ねるにつれてアカウント名も「わたくし96歳」と変化し、そのフォロワーは8万人を超える。
彼女は、戦争の悲惨さを伝えつつ、大切な日常や政治についても独自の視点で語り、そのユニークな表現で多くの人々の共感を呼んでいる。特に、彼女の語り口には、悲しみだけでなく、時には軽快さやユーモアも感じられる。
書籍『わたくし96歳#戦争反対』
2023年に発刊された彼女の書籍『わたくし96歳#戦争反対』では、長女の京子さんが富美子さんから聞き取った体験をまとめており、戦争の恐ろしさや家族との絆が丁寧に描かれている。「ハハが体験したことをそのまま体験してほしい」との思いを込めて、京子さんは富美子さんの言葉を記録している。また、本書には爆心地近くのトンネルでの衝撃的な体験が詳細に語られている。
夢が実現した『徹子の部屋』への出演
富美子さんは、2025年8月15日に放送される『徹子の部屋』への出演を熱く待ち望んでいた。「徹子さんには率直に語りたい」と語る彼女の思いは、戦争のない世界を願う声でもある。出演の際には、家出した京子さんとの共同生活や新たな人生のスタートについても言及されることが期待されている。
参加するイベント
また、8月10日にはメトロ書店長崎本店にて富美子さんと京子さんのトークイベントも開催予定で、彼女の生き様に触れたいファンが多く集まることが予想される。
結びに
富美子さんの人生は、戦争の影にある過去を乗り越えた力強い証である。彼女の言葉は、未来を生きる世代に向けた重要なメッセージでもある。彼女自身がどのようにその体験を乗り越え、いかに多様な人生を歩んできたのかを知ることは、私たちにとって貴重な学びとなるだろう。彼女の物語は、今後も多くの人々に影響を与え続けるに違いない。