アレクサンドル・デュマの傑作が新たに光を浴びる
西永良成による新訳『モンテ・クリスト伯』が日本翻訳家協会の「翻訳特別賞」を受賞した。この名誉ある賞は、翻訳だけでなく、作品の文学的価値をも高く評価するものである。
本作はアレクサンドル・デュマによる19世紀フランス文学の金字塔であり、復讐譚の傑作として世界中で広く親しまれてきた。日本にも1902年に導入され、多くの改編やドラマ化を経て、ついに現代の日本読者に向けた新訳が誕生した。翻訳の背景には、デュマ作品への深い理解とこれまでの翻訳経験が生かされている。
ロマンの核心—復讐と愛
物語は、愛する者を奪われた主人公エドモン・ダンテスが、復讐の旅に身を投じるところから始まります。彼の壮大な復讐劇は、嫉妬や憎悪、陰謀に満ちており、読者は彼の運命に胸を痛めること必至。特に彼がかつての自分を取り戻そうとする姿は、感情を揺さぶるものとなっている。
この新訳では、デュマ作品の豊かな描写と登場人物の感情の深さが一層引き立てられており、読者は彼の物語に引き込まれる。孤独な牢獄から解放された後、エドモンがどのように復讐を果たし、運命に立ち向かうのか、ぜひ多くの読者に体験してほしい。
映画化も決定!
さらに、2025年11月7日には映画『モンテ・クリスト伯』の全国公開が予定されており、これもまた話題を呼んでいる。主演のピエール・ニネは、この重厚な役柄を力強く演じると予想され、多くのファンが待ち望む作品となることだろう。
翻訳家の西永良成さんは、受賞に対して「少年時代に出会った『巌窟王』との再会を果たした。これまで応援してくださった読者に感謝したい」とコメントしている。彼の情熱と努力が実を結んだ瞬間であり、多くの文学愛好者にとっても喜ばしい出来事だ。
西永良成さんの経歴
西永良成さんは、1944年に富山県で生まれた後、東京外国語大学の名誉教授として活躍中。特にフランス文学と思想の専門家として知られ、『激情と神秘』や『小説の思考』など多くの著作がある。翻訳家としては80冊以上の翻訳を手がけ、その中にはクンデラやユゴーの作品も含まれており、ディープなフランス文学への造詣が光る。
この新訳『モンテ・クリスト伯』を通じて、多くの人々がデュマの世界観に触れ、深い感動を得ることを期待したい。文学と映画が交錯するこの特別な機会をお見逃しなく!
書誌情報
- - 著者:アレクサンドル・デュマ
- - 訳者:西永良成
- - 装丁:中垣信夫
- - 出版社:平凡社
- - 発行日:2024年7月5日~11月5日
映画情報
- - 上映日:2025年11月7日より全国ロードショー
- - 監督:マチュー・デラポルト、アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール
- - 配給:ツイン
公式サイトは
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