触覚と視覚の融合
2025-04-22 14:04:26

触覚と視覚が融合する脳のメカニズムを世界初特定!

触覚と視覚の統合メカニズムを解明した新たな研究



技術革新が進む中、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の研究者たちは、手で物をつかむ際に必要な触覚情報と視覚情報がどのように脳内で統合されるのかを探る研究を行い、そのメカニズムを世界で初めて特定しました。この発見は、触覚と視覚がどのように互いに影響し合うのかを解明するための重要なステップであり、これからのXR(拡張現実)やAI技術の進化に大きな影響を与える可能性があります。

研究の背景と目的



視覚、聴覚、触覚など、私たちが日常生活で感じる情報は、五感を通じて脳に伝えられます。しかし、これらの異なる感覚情報がどのように統合され、私たちの行動や認知に影響を与えるのかについては、未解明な部分が多く残されていました。特に、触覚と視覚の情報がどのように相互作用し合うのかを理解することは、マルチモーダル技術の進化にとって非常に重要です。

国立研究開発法人NICTのユニバーサルコミュニケーション研究所と未来ICT研究所脳情報通信融合研究センターは、アクティブタッチという能動的な触知覚において、脳内での情報の統合メカニズムを調査しました。具体的には、独自開発した力覚提示デバイスを用いて、触覚情報と視覚情報を個別に操作し、脳内ネットワークの一端を明らかにすることを目指しました。

研究の実施と結果



研究チームは、fMRI(機能的磁気共鳴撮像法)を用いて、実験参加者が指を動かしつつ、力覚提示デバイスのプレートをつかむ動作を行いました。この時、参加者は視覚的な指の動きを示すバーを見て、力覚の硬さを判断しました。この実験の結果、触覚と視覚が統合される脳部位が特定され、視覚情報が触覚の判断に影響を与えることが明らかになりました。

具体的には、触覚情報と視覚情報を同時に提示した場合、脳の特定の領域で活動が活発になることが観察され、両者が統合されるプロセスが示唆されました。また、動的因果モデリングを用いて脳内ネットワークの解析が行われ、触覚情報と視覚情報の整合性判断に関わる脳部位の相互作用が明らかになりました。

今後の展望



これらの成果は、XR技術やAI技術の進化において非常に期待されるものです。脳の情報統合メカニズムを活用することで、よりリアルなXR空間の構築や、人々とのよりスムーズな相互作用が可能になると考えられます。例えば、視覚情報が触覚処理を補完することで、より高効率な空間再現が可能になるのです。この研究成果は今後のテクノロジーの発展に大きな影響を与えることでしょう。

最後に



本研究は2025年3月に米国科学雑誌『Imaging Neuroscience』に掲載され、脳機能の知見を基にした新たな技術の実現に期待が高まっています。これからも、NICTは脳内の感覚情報の統合に関する研究を進め、私たちの生活を豊かにする新しい技術の開発に邁進していきます。


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