ビズメイツによる日本企業の海外赴任前研修実態調査
ビズメイツ株式会社が実施した第29回ビズメイツ調査では、日本企業における「海外赴任前研修」の実態が浮き彫りとなりました。本調査は、特に従業員500人以上の企業400名の人材育成・研修担当者を対象に、研修の必須化や実施状況、海外赴任者が直面する問題を探ることを目的としています。
研修の必須化が進まない現状
調査の結果、海外赴任前研修を必須化している企業はわずか3割未満で、多くの企業においては研修の実施が個人任せであったり未実施であることが明らかになりました。このようなバラつきは、日本企業が国際的な競争力を保つために必要な研修体制の整備が急務であることを示しています。
特に注目すべきは、9割以上の企業で途中帰任が発生しているという事実です。その理由としては「語学力不足」ではなく「文化適応の失敗」や「現地コミュニケーション不全」が上回る結果となっており、語学研修だけでは十分ではないことが示唆されています。この状況は、海外赴任を望む人材の減少という深刻な問題を抱えた日本企業の課題を浮き彫りにしています。
海外赴任者の派遣と期間
調査では、年間で101名以上の海外赴任者を輩出している企業が44.3%を占め、海外派遣のニーズが高まっていることも伺えます。また、海外赴任者の平均派遣期間は「3~5年未満」が38.6%を占めており、企業が中長期的に人材育成に取り組む姿勢を確認できます。
格急な帰任が多い中で、正しい異文化理解やコミュニケーション能力の育成が求められています。これには専門的な知識だけでなく、フィールドでの実践的な経験が不可欠です。
英語スキルの重視
海外赴任者に求められる英語スキルについても調査を行い、「プレゼン能力」や「マネジメント力」が重視されています。これらのスキルは、国際ビジネスの現場で成果を挙げるために必要であり、単なるコミュニケーション能力ではなく、実行力が求められていることを示しています。
早期帰任の原因
早期帰任者の主な理由は「文化適応の失敗」や「現地のスタッフとのコミュニケーションがうまくいかなかったこと」などであることが確認されました。この調査結果は、伝統的な語学研修中心のアプローチをただ続けるだけでは不十分であり、異文化研修を中心に据えた実践的な研修体系の整備が求められることを証明しています。
課題と展望
自由回答からは海外赴任希望者の減少が最も多く、若手社員の海外志向が低下していることが課題として指摘されています。日本企業がグローバルに展開していく中で、海外赴任を魅力的なキャリアパスとして認識してもらうことが重要です。
これらの調査結果を受けて、今後の日本企業に求められることは、語学だけでなく、実際のビジネス環境における異文化理解とその支援体制を強化することです。これによって、早期帰任を減少させるだけでなく、持続的な人材育成戦略が実現できるでしょう。
この調査は、企業が直面している現実的な課題を浮き彫りにし、今後の対応策に向けた議論を促進するものとなるでしょう。企業が誇るべき次代のグローバル人材育成に向けて、さらなる取り組みを進めることが期待されます。