阪急電鉄、回生電力貯蔵装置の導入でエネルギー効率化を目指す

阪急電鉄、回生電力貯蔵装置の導入

阪急電鉄が、新たな取り組みを開始します。2025年4月10日から、大阪府池田市の石橋変電所で初めて「回生電力貯蔵装置」の運用を開始します。この装置は、電車の走行時の省エネルギー化を図るための重要なステップだとされています。

回生電力とは何か

電車が減速する際には、運動エネルギーが発生します。このエネルギーを電気エネルギーに変換し、再利用することができるのが「回生電力」です。通常、減速時に発生する電力は架線を介して他の電車に供給されますが、複数の電車が同時に減速する場合、余剰の回生電力が生じることがあります。この余剰電力を有効に活用するための手段として、今回の貯蔵装置が導入されることになります。

回生電力貯蔵装置の役割

導入される回生電力貯蔵装置は、余剰の回生電力を一時的に蓄えることが可能です。電力が必要なタイミングでは、この蓄えた電力を再利用することで、エネルギーの効率的な活用が実現します。また、年間で約150トンものCO2の排出削減が期待されており、これは杉の木約1万7千本が吸収する量に相当します。このように、経済的効率だけでなく、環境への配慮も重視されています。

停電時の安全対策

さらに、この装置は停電時の電力供給機能も兼ね備えており、複数の変電所が同時に停電した場合には、電車にこの装置から電力を供給し、最寄り駅まで安全に走行できるようにする運用も検討されています。このような多角的な運用により、乗客の安全確保を図っています。

環境保全への取り組み

阪急阪神ホールディングスグループでは、「環境保全の推進」を重要なテーマとして掲げており、脱炭素社会や循環型社会に向けた様々な取り組みを行っています。これまでにも省エネルギー性能の高い車両への更新や「カーボンニュートラル運行」の開始など、幅広い活動を展開してきました。今回の回生電力貯蔵装置を導入することにより、さらなる環境負荷の低減が期待されています。

導入の詳細

1. 運用開始日: 2025年4月10日（木）
2. 導入場所: 石橋変電所（大阪府池田市石橋）
3. 装置仕様:
- 電池種類: リチウムイオン電池
- 定格容量: 1,000kW
- 蓄電池容量: 198.7kWh
4. 想定効果: 年間CO2排出削減量：約150t CO2
5. 製造会社: 株式会社東芝

このプロジェクトは、環境省の助成金を受けて進められています。今後も阪急電鉄は、他の変電所への同様の装置の導入を行い、さらに脱炭素社会の実現に向けて努力を続けることでしょう。

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