住友林業とレンゴーの新たな挑戦
2023年、住友林業株式会社とレンゴー株式会社は、木質を原料とするバイオエタノールの生産について基本合意書を締結しました。この画期的な取り組みは、使用されなくなった建築廃材を改良利用し、持続可能な航空燃料(SAF)を生産することを目指しています。環境への配慮が求められる現代において、両社の協力は注目を集めています。
バイオエタノールの生産プロセス
住友林業は、主に住宅建設現場で生じる木くずや廃材を収集し、これを利用してバイオエタノールを生成します。この新しい試みは、ただ単に廃材を再利用するだけでなく、CO2の排出を効果的に削減する手段としても評価されています。レンゴーの子会社である株式会社Biomaterial in Tokyoが持つ技術が採用され、さらに生産設備としてレンゴーの傘下で廃棄物のリサイクル業務を行う大興製紙株式会社が利用される予定です。
目指す未来
2025年12月までに共同出資会社を設立し、2027年までに年間約2万キロリットルのバイオエタノールの生産を目指しています。この生産されたバイオエタノールは、航空燃料として転換され、主に燃料供給企業に販売される計画です。特に、SAF(持続可能な航空燃料)の市場は拡大を見せており、国際的な取り組みとしてもYahoo!やIATAなどが2030年に向けての需要増を見込んでいます。
環境への影響
気候変動の影響が深刻化する中、国際的な動きとしてもCO2排出量の削減は急務です。ICAOなどの国際機関は、2050年までに実質的なCO2排出ゼロを達成する目標を掲輩しています。このほか、実際にも航空業界でのSAF使用推進が進められており、住友林業とレンゴーが手がけるプロジェクトはこの大きな流れの中でも重要な役割を果たすと期待されています。
持続可能なビジネスモデルの形成
住友林業は廃材からだけでなく、製造過程で生じるリグニン成分も活用することで、住宅用塗料など別の製品の製造も考えており、廃材の有効活用を図っています。これは新たな事業モデルの一環であり、持続可能な社会の実現に貢献する大きなステップとなります。どちらの企業も、森林経営や木材を中心とした事業を推進しており、持続可能性と環境保護を意識したビジョン「Mission TREEING 2030」のもと、CO2の吸収量を増やし、長期的に資源を確保することを目指しています。
まとめ
住友林業とレンゴーの連携は、持続可能な航空燃料の供給と環境保護を同時に実現する先進的な取り組みとして注目されています。これにより、木材の新たな利用方法が確立され、さらなる環境負荷の軽減が期待されます。このプロジェクトが色んな側面で成功を収めれば、他業界にも大きな影響をもたらす可能性があり、我々の持続可能な未来への足がかりとなるでしょう。