高齢者の口腔健康
2025-08-29 12:14:26

高齢者の健康な口腔維持に必要な硝酸還元菌の存在を解明

高齢者の健康な口腔維持に必要な硝酸還元菌の存在を解明



近年、高齢者の口腔健康が注目を集めています。歯周病は、歯の喪失だけでなく、全身疾患のリスク因子としても知られており、加齢とともにその罹患率は増加します。そこで、花王株式会社のヒューマンヘルスケア研究所が行った新しい研究が興味深い結果をもたらしました。

この研究では、軽度歯周病の段階にある人々と健康な人々の口腔フローラの違いを調査しました。163名の被験者を対象に、口腔フローラの特徴を比較分析した結果、軽度歯周病のグループでは、健常群と異なる特徴的な口腔フローラが見られることがわかりました。

硝酸還元菌の重要性



特に注目すべきは、「硝酸還元菌」と呼ばれる細菌の存在です。この菌は、ナイセリア属やアクチノマイセス属、ロシア属などが含まれ、これらは歯周病やう蝕の予防に寄与する可能性があることが確認されました。興味深いことに、健常な高齢者の口腔内では、若年者よりも硝酸還元菌の割合が多く見られることが発見されたのです。このことは、健康な口腔環境を保つために硝酸還元菌が重要であることを意味しています。

従来のオーラルケアは、口腔内の有害な菌を減らす「殺菌」に重きを置いてきました。しかし、日本人の歯周病罹患率は依然として高く、単に殺菌するだけでは十分でないというのが専門家たちの見解です。そのため、口腔内の多様な菌のバランスを整える「口腔フローラ制御」のアプローチが新たに注目されているのです。

どのような研究が行われたか



花王の研究は、軽度歯周病の人々や、高齢者でも健康な口腔を維持している人々に焦点を当てています。これらのグループ間の口腔フローラを詳細に分析した結果、軽度歯周病の段階ですでに異なるフローラが形成されていることが確認されました。この所見から、口腔の健康状態を維持するためには、硝酸還元菌の比率を高めることが重要だと考えられます。

今後の展開



研究の結果は、光明をもたらすものです。高齢者が健康な口腔を維持するためには、ナイセリア属などの硝酸還元菌を多く含む口腔フローラが必要だとわかりました。今後、花王はこれらの成果を基に、硝酸還元菌の比率を高める方法を探求し、生活者の口腔健康維持に役立つ製品やサービスを提供していく予定です。

この研究成果は、2025年6月24日に世界的な学術誌『Journal of Clinical Periodontology』に発表される予定です。口腔ケアの新たな視点を提供するこの研究は、実生活での予防歯科の進展にも寄与することが期待されています。高齢者の口腔の健康を維持するための新たな施策が、今後の健康促進に大いに役立つことでしょう。


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会社情報

会社名
花王株式会社
住所
東京都中央区日本橋茅場町1-14-10
電話番号

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