JICAと阪急電鉄がLRT1号線の省エネ化を支援
独立行政法人国際協力機構(JICA)と阪急電鉄が、フィリピン・マニラの都市鉄道LRT1号線の省エネルギー化に向けた新たな技術協力を開始しました。このプロジェクトは、LRT1号線の運営を担うLight Rail Manila Corporation(LRMC)の要請を受けたもので、2025年から始まる1年間の取り組みです。
マニラの交通事情
フィリピンの首都マニラは、東京23区とほぼ同じ面積に関わらず、約1.4倍の人口を抱えています。東京では約80本の公共交通路線が運行されているのに対して、マニラでは軌道系交通が3路線しかありません。このため、交通は主に道路に依存しており、慢性的な渋滞が発生。さらに、深刻な大気汚染や二酸化炭素の排出量増加が懸念されています。2020年の試算では、移動時間コストに関する経済的損失は1日あたり38億ペソ(約90億円)にも達しました。
JICAの支援
JICAは、LRT1号線を含むマニラ首都圏の公共交通網の整備に取り組んでおり、開発調査や技術協力を通じて支援を行っています。特に、環境負荷を低減するための施策として、LRT1号線の省エネルギー化が重要視されています。今回の技術協力では、阪急電鉄が持つ日本国内での鉄道の省エネ化に関するノウハウを活用して、LRT1号線の電力使用状況を詳しく分析し、さまざまな省エネルギー施策を導入するロードマップを作成します。
阪急電鉄の取組
阪急電鉄は、2025年4月から全路線でのCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル運行」を掲げ、2050年までに環境負荷の低減を目指しています。今回のLRT1号線の省エネ化に向けた技術協力は、2024年から本格的に始まります。これにより、阪急電鉄はLRMCと共に、持続可能な交通システムの構築に向けて取り組んでいくことになります。
まとめ
JICAと阪急電鉄が共同で進めるLRT1号線の省エネルギー化プロジェクトは、マニラにおける公共交通の環境負荷を低減し持続可能なインフラの構築に寄与することを目指しています。この取り組みが、マニラの交通事情改善につながることが期待されています。今後の進展に注目です。