TYPICA、コーヒー業界に革新をもたらす
TYPICA Holdings株式会社は、2025年3月26日に日・ブラジル経済フォーラムで、長期固定価格によるダイレクトトレードを推進する第一号案件の覚書を締結しました。この重要なイベントには日本とブラジルの首脳が臨席し、約80億円規模の取引に関する合意が交わされました。
旧来のコーヒー市場とその問題
昨今の国際市場において、コーヒー生豆の価格は先物市場の影響を受け、約112%という大きな変動を見せています。このような価格変動は生産者の収入に多大な影響を与え、不安定な状況にさらされています。生産者は短期的な価格変動に対応することが求められる一方で、コーヒーの品質や量の安定的な生産は困難になっています。
さらに、バイヤーにとっても調達コストの予測が難しく、経営の不透明性が高まっています。この影響で、消費者に対するコーヒー価格が上昇し続けており、業界全体のサステナビリティが極めて脅かされています。
新しい枠組みのダイレクトトレード
TYPICAは、コーヒー取引の安定性を確保するために、新たなダイレクトトレードの枠組みを提案しています。覚書の締結を起点に、世界各国の生産者とバイヤーがTYPICAのオンラインプラットフォームを通じて、実際のコストと付加価値に基づいた長期固定価格で取引を行います。この新しい仕組みは、コーヒー業界全体の経済性や品質を向上させ、持続可能な取引関係の構築を目指しています。
期待される影響
本事業を通じて、バイヤーは調達コストを安定させながら原材料の付加価値を高め、高品質で安定した価格のコーヒーを消費者に提供することができるようになります。一方で、生産者は市場の価格変動に振り回されることなく、長期的な安定収入が見込めるようになります。また、気候変動対策や品質向上のための中長期的投資が可能となり、両国の経済発展やコーヒー業界の成長にも寄与するでしょう。
TYPICAのビジョン
TYPICAは、2030年までに日本とブラジル間で10個の案件を展開し、約1,000億円規模のダイレクトトレード市場を形成することを目指しています。また、同様の市場を世界中の他の生産国や消費国にも創出することで、善意に基づく新しいエコシステムを構築しようとしています。
TYPICAは創業以来、高品質なスペシャルティコーヒーに特化して事業を展開してきました。しかし、多くの生産者はコモディティとして販売せざるを得ず、市場の乱高下に影響を受けています。これに対処するために、TYPICAは高品質のコマーシャルコーヒーも取り扱い市場に安定した供給の道を提供します。
コーヒーに関する新たな取引方法、そしてそれによってもたらされる誠実な収益が、生産者とロースターの間で理想的なバランスを生む可能性があります。これにより、規模の経済と質の経済が共存する市場の形成が期待されます。
TYPICAについて
「TYPICA」は、コーヒー業界の新たな国際市場を創出することを目指して2019年に設立されました。日本、韓国、台湾、オランダ、米国に拠点を持ち、世界中の17万軒以上の生産者とロースターをつなぐネットワークを構築しています。TYPICAは、ダイレクトトレードを通じて業界を革新し、コーヒーのサステナビリティ向上を追求し続けます。