クオルテックが新しい半導体研究開発拠点を開設
株式会社クオルテックは、2024年5月10日に滋賀県の「滋賀県立テクノファクトリー」に新たな研究開発拠点を開所しました。この拠点では、新規次世代半導体材料を用いたパワー半導体の製膜に関する研究が行われます。開所式には、クオルテックが資本業務提携を結んでいる立命館大学発のベンチャー企業であるPatentix株式会社も参加しました。
研究開発の背景
新設された拠点では、クオルテックが注目する新規次世代半導体材料「二酸化ゲルマニウム(GeO₂)」を使用した研究が進められます。この材料は、ファントム局所的気相成長(Phantom SVD)法により、4インチのシリコンウエハ上への製膜に世界で初めて成功しています。この成果は、半導体技術における新たな一歩とされています。
二酸化ゲルマニウムは、従来のシリコンやシリコンカーバイド、窒化ガリウムと比較して、損失を抑え、高耐圧や小型化の特性に優れるため、次世代半導体材料として非常に期待されています。クオルテックは、この材料の特性を更に引き出すための研究を行い、高品質なGeO₂エピ製膜技術の開発を目指しています。
拠点の設立目的
新たに開設された研究開発拠点では、GeO₂薄膜の大面積化に向けた取り組みが行われます。また、薄膜の電気特性や内部の欠陥評価が実施され、高信頼性の半導体材料の供給に向けた基盤が築かれます。この拠点では、多目的なX線回折装置を導入し、特性分析や製膜試作に取り組む予定です。
クオルテックはこれまでに培ったパワー半導体の信頼性評価技術を駆使し、次世代半導体材料であるGeO₂のエピウェハの早期供給を目指しています。
今後の展望
今後は、半導体製造の前工程における研究開発が進められ、量産へ向けた試作フェーズとして、PATENTIXと共同研究開発が展開されていきます。最終的には2027年を目標にGeO₂半導体の量産事業に参入する計画です。この開発が実現すれば、次世代半導体市場において大きな影響を与えることが期待されています。
企業情報
株式会社クオルテック
- - 所在地:大阪府堺市堺区三宝町4丁230番地
- - 代表取締役社長:山口友宏
- - 事業内容:半導体や電子部品の信頼性試験、新技術開発、微細加工技術の提供など
- - 公式サイト:クオルテック
Patentix株式会社
- - 所在地:滋賀県草津市野路東1丁目1番1号 立命館大学BKCインキュベータ
- - 代表取締役社長:衣斐豊祐
- - 公式サイト:Patentix
新たな半導体材料の開発に貢献するクオルテックの取り組みに、今後の期待が寄せられています。