低ホスファターゼ症患者の声を届ける新しい医療の形とは
希少難病である低ホスファターゼ症(HPP)は、多くの人にとってあまり知られていない疾患ですが、実際には患者が直面する困難は計り知れません。この病気は、骨や歯の石灰化障害を特徴とし、患者数が限られているため、大規模な臨床試験が難しく、診断や治療においてエビデンスの不足が大きな課題となっています。そんな中、NPO法人HPP HOPEが今回は新たな取り組みを発表する機会を得ました。
発表の背景
HPP HOPEは、患者自身が主導する形で、医療に関するデータを集約する重要性を認識し、患者の声を反映させるためのPHRプラットフォーム「ComNext」を開発しました。このシステムを通じて、患者は自身の病状や治療効果を記録し、医療者とのコミュニケーションを円滑にするための情報を提供しています。次回開催される「第58回日本小児内分泌学会」で、このプラットフォームを基にした研究データや患者主導のエビデンス創出について発表する運びとなりました。
患者主導型PHR「ComNext」とは
ComNextは、患者が日常的に症状や治療状況を管理・記録できるアプリケーションです。このツールの導入によって、患者は自らの健康データを視覚化し、治療における進捗や効果を把握できるようになります。具体的には、治療経過やQOL(生活の質)を定量化することができ、医療者と共有することで、より質の高い医療の提供を促進します。また、ComNextを使用して集められたデータを基に、成人HPP患者の治療実態やQOLに関するリアルワールドデータの分析を進めています。このようなデータが新しい治療法や診断法の開発に寄与することが期待されています。
未来の医療を共創する
本発表では、患者と医療者が協力し合う「共創医療」の未来を描きます。HPP HOPEは、ComNextを利用して、医療現場と患者の間に立つ架け橋として機能し、患者の声が治療法の開発に繋がるようにしたいと考えています。このプラットフォームを通じた情報交流が、HPP患者にとっての新たな希望となるでしょう。
NPO法人HPP HOPE代表理事のコメント
私たちがこのような重要な機会を得たことは、患者会にとって大きな一歩です。ComNextは、患者自身が手にする医療における未来の可能性を示唆しています。この発表を通じて、新たな連携や共同研究のスタートを切れることを期待しています。
まとめ
低ホスファターゼ症(HPP)という希少疾患の発表は、患者自身が医療の形を変える力を持っていることを示しています。私たちの取り組みが、他の患者や医療者との連携を深め、共により良い治療法を見出すきっかけとなることを願っています。患者の声が未来の医療を形作る一助となることを確信し、これからも活動を続けていきます。