脂肪の再評価
2025-01-23 07:21:48

脂肪の再評価:人類の歴史と美食を探る新刊書籍

最近、新潮社から『脂肪と人類:渇望と嫌悪の歴史』という興味深い書籍が発売されました。本書の著者であるイェンヌ・ダムベリは、スウェーデンのジャーナリストで、その豊富な食文化に関する知識と経験をもとにこの本を執筆しました。この一冊では、脂肪という嫌われ者の栄養素がどのように人間の歴史と深く結びついているのか、またその価値がどのように変遷してきたのかを探ります。現代において脂肪はダイエットの敵とされ、忌避されがちですが、かつては世界各地で貴重なエネルギー源とされていました。

本書は、ダムベリが世界を旅し、伝統的な脂肪料理を味わい、その歴史を探求する様子が描かれています。例えば、彼は「脂肪を食べたサルがヒトに進化した?」という問いから、人類の進化と脂肪の関係についてを冒頭に挙げています。さらに、縄文土器が魚を茹でるための道具であることが指摘され、古代の人々が脂肪とどのように関わっていたのかを示唆しています。

書中では、バターやチーズが神の食べ物とされ、女性の苦労の結晶でもあることも述べられています。また、驚きのトピックとして「宗教改革の原因はバターだった?」といった歴史的背景に踏み込んでいます。このように、ダムベリは脂肪にまつわる数々の逸話や歴史的事実を通じて、我々がどのように脂肪を捉えてきたのかを浮き彫りにしています。著者は、油脂に対する評価が様々なロビー活動によって揺れ動く様子をも描写し、現代の食文化における脂肪の位置付けがいかに重要であるかを訴えかけています。

また、脂肪が健康に与える影響についても触れ、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、パーム油等について、果たして本当に体に悪いのは何かを問いかけています。その背景には、世界の脂肪料理への謝辞や、各国での特有の料理が詰まっています。「ウクライナ人が愛するサロ」や、「サーミが珍重する老人のソーセージ」といった具体的な例を挙げて、その文化的価値を強調しています。

本書は、従来の考え方を覆す情報やユニークな視点を豊富に含んでおり、ダイエットや健康に興味がある読者だけでなく、食文化に興味を持つすべての人にとって魅力的です。さらに、美味しく作れる脂肪を使ったレシピやテクニックも収録されているため、実際の料理に活かすことができます。

『脂肪と人類:渇望と嫌悪の歴史』はただの栄養学書ではなく、私たちの文化に深く根ざした脂肪の歴史を明らかにする、非常に意義深い作品です。刊行日は2024年1月23日で、価格は2,200円(税込み2,420円)。この本を手に取り、脂肪との新しい関係を見つけてみてはいかがでしょうか。


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株式会社新潮社
住所
東京都新宿区矢来町71
電話番号
03-3266-5220

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