アジア地域におけるインクルーシブ採用の重要性とその現状
最近、グローバル人材サービスのヘイズが実施した調査によれば、アジア圏の採用担当者の89%がインクルーシブな採用プロセスの重要性を強く認識していることが明らかになりました。このデータは、2024年7月に日本、中国、香港特別行政区、マレーシア、シンガポール、タイで行われた966人への調査結果を元にしています。
調査は、DE&I(多様性、公平性、インクルージョン)施策の実施状況や、それが職場に与える影響についての意識を探る内容となっています。特に、エスニックマイノリティーや介護に従事する人々が直面する課題が浮き彫りになりました。
調査から見えた重要なポイント
1. エスニックマイノリティーの課題
調査にはエスニックマイノリティーも含まれ、なんと50%が自らの多様性要因によってキャリアの進展が制限されていると回答しました。また、45%は内部昇進した管理職における多様性の欠如に不満を抱いているとのことです。この結果は、雇用者が採用の際に包括的な視点を持つ必要があることを示しています。
2. 支援制度の不足
調査に参加した24%の人々が育児中であり、さらに18%の人々が高齢者を介護していますが、育児手当はあっても高齢者の介護を支援する制度には乏しいのが現実です。そのため、36%の介護者が昇進に障壁を感じており、より柔軟な労働環境を求める傾向が見られました。
3. 男女のインクルーシブニーズ
男性と女性は、DE&I施策について同様の重要性を感じていますが、若干の差異があります。男性はキャリアにおける障壁を感じている割合が5%高い一方、女性は「採用プロセスが包括的であるべき」と考える割合が6%高いという結果が得られました。
4. 採用担当者の意識
驚くべきことに、採用担当者の89%はインクルーシブ採用の重要性を実感していますが、実際にどのように実施すれば良いかという知識には乏しいことが分かりました。これは、企業にとって次なる課題でもあります。
5. 成功にはマネジメントが鍵
企業の管理職採用において、49%の回答者が自身の取り組みが効果的だと感じていますが、多くは限られたタレントプールが理由で成功は難しいと認識しています。マーク・ブラジ氏は「企業は自社のリソースグループをフル活用し、有望な人材の発見と育成に努めるべきだ」と述べています。
まとめ
今回の調査は、アジアにおけるインクルーシブ採用が従業員の生産性向上や多様なタレントプールへのアクセスの広がりと密接に関連していることを示唆しています。企業がこの重要なテーマに対し、具体的な施策を講じることで、より良い労働環境の実現が期待されます。ヘイズにとって、今後の施策を推進することが企業の成長戦略に不可欠となるでしょう。