双日とビナミルクが開設するベトナムの冷蔵牛肉加工工場
双日株式会社は、2024年12月にベトナム・ビンフック省タムダオ地区に、国内最大級の牛肉加工工場を稼働します。この施設は高度な衛生管理が施された初の冷蔵牛肉加工工場で、年間約1万トンの牛肉製品の供給を目指しています。また、2025年3月には工場隣接地に農場も稼働予定で、牛の肥育から加工、販売までの一貫体制を確立します。
ベトナムの牛肉市場の現状
現在、ベトナムでは豚肉や鶏肉が主流で、牛肉の年間消費量は50万トン程度にとどまります。この傾向は、人口増加と所得向上に伴い、今後変化が期待されています。特に、冷蔵管理された品質の高い国産牛肉に対する需要が高まり、流通環境が改善される見込みです。
JVL設立とビナミルクとの提携
双日は2021年9月に、ビナミルクのグループ会社とともにJapan Vietnam Livestock Co., Ltd.(JVL)を設立し、本格的な牛肉事業に乗り出しました。テストマーケティングとして日本産牛肉の輸入・販売を行う一方で、国内協力工場で国産牛肉を加工し、スーパーマーケットや飲食店に提供しています。今回の新工場は年間約3万頭の処理能力を持ち、安定した製品供給を実現します。
物流体制の強化と販売戦略
生産された牛肉製品は双日が持つ4温度帯の物流センターで適切に管理され、特に高級顧客向けに販売される予定です。これにより、双日の食肉ビジネスがさらなる拡大を遂げ、リテール事業の成長も見込まれます。
フードバリューチェーンの強化
双日は中期経営計画2026を通じて、成長市場での展開を進めています。特にベトナム市場において、効率的な物流と製造、リテールの強化が重要な戦略です。このプロジェクトによって、フードバリューチェーンを強化し、良質な国産牛肉を消費者に提供する体制を築いていくことを目指します。
JVLの取り組み
JVLの「タムダオ食肉加工工場」は、約3万頭を処理でき、年間1万トンの牛肉製品の加工が可能です。また、タムダオ農場では最大1万頭の牛の肥育が行われる計画で、約75ヘクタールの敷地を利用しています。これは、ベトナム国内における牛肉市場の発展に寄与する大きな一歩と言えるでしょう。
このように、双日とビナミルクが共同で取り組むボトムアップ戦略は、今後のベトナムの食肉市場に大きな影響を与えることが期待されています。新しい冷蔵牛肉加工工場の立ち上げは、消費者にとっての選択肢を広げるだけでなく、国産牛肉の品質向上にも繋がるでしょう。