シリアの子どもたちに未来を届けるーNPO法人Piece of Syriaの幼児教育支援
2011年から続くシリア内戦と2023年の大地震は、多くの子供たちの教育を奪いました。かつて教育レベルが高かったシリアでは、今では3人に1人しか学校に通えていないという厳しい現状です。そんな中、NPO法人Piece of Syriaは、シリア北部で幼稚園を運営し、子どもたちに学びの場を提供しています。11月16日の「幼稚園の日」を機に、彼らの活動と、シリアの未来を担う幼児教育の重要性について深く掘り下げていきます。
戦争と地震が奪ったもの:教育と未来への希望
かつてシリアは、就学率99.6%を誇る教育大国でした。しかし、内戦の勃発により、教育インフラは破壊され、多くの子供が教育の機会を奪われました。さらに大地震は、壊滅的な被害をもたらし、多くの学校が利用不能となりました。国連の報告によると、現在学校に通っていないシリアの子どもの半数は、一度も学校に通ったことがないといいます。
この悲惨な状況の中、Piece of Syriaは、子供たちが安心して学べる環境を作るため、シリア北部で幼稚園を運営しています。その活動の根底には、「シリアをまた行きたい国にする」という強いビジョンがあります。
幼稚園が担う役割:基礎教育、心のケア、社会性
Piece of Syriaの幼稚園では、単なる基礎教育にとどまらず、心のケアや社会性の育成にも力を入れています。内戦によるトラウマを抱える子供たちにとって、安全で安心できる環境は不可欠です。幼稚園は、子供たちが安心して友達と遊び、読み書きや計算などの基礎を学び、社会性を身につけるための重要な場所となっています。
現地調査によると、幼稚園に通えなかった子供の約8割が小学校を中退しているというデータがあります。これは、幼児期の教育が、将来の学業継続に大きな影響を与えることを示しています。
さらに、内戦下では公共サービスが行き届いておらず、教師の給与が支払われないケースも多いのが現状です。Piece of Syriaは、教師への給与支援にも取り組むことで、質の高い教育の提供に尽力しています。
Piece of Syriaの取り組みと成果
2016年の設立以来、Piece of Syriaは、延べ5万人近くのシリアの子どもたちに教育の機会を提供してきました。日本唯一のシリア幼稚園支援NGOとして、延べ1500名以上の子どもたちを受け入れてきました。当初は100人規模でしたが、今では350名の子どもたちが、学費無料で幼稚園に通うことができます。
彼らの活動は、基礎教育にとどまりません。演劇やスポーツなどの活動を通じて平和的な価値観を育み、未来への希望を育む教育を目指しています。多くの子供たちが、幼稚園で友達と遊ぶことを楽しみ、笑顔を取り戻しています。
未来への展望:シリアの復興と子供たちの自立
Piece of Syriaのビジョンは、「シリアをまた行きたい国にする」ことです。そのためには、子どもたちが自ら未来を築き、自立できる力を育むことが重要です。幼稚園での教育は、そのための第一歩です。
彼らは、幼稚園から小学校、そして高等教育へと続く学びの道をサポートする体制を構築することを目指しています。そのためには、継続的な支援が不可欠です。1日100円の継続支援でも、シリアの子供たちの未来に大きな影響を与えます。
あなたの支援が、未来を変える
シリアの子供たちの未来は、私たちの手によって作られます。Piece of Syriaの活動は、単なる教育支援ではなく、平和構築への貢献でもあります。あなたの温かいご支援が、シリアの子どもたちに希望の光を灯します。
寄付に関する情報は、下記ウェブサイトをご覧ください。
Piece of Syria公式ウェブサイト