悪性脳腫瘍治療薬開発
2023-10-10 07:00:01

ゲノム編集iPS細胞による悪性脳腫瘍治療薬開発、3者共同研究契約締結

ゲノム編集iPS細胞で悪性脳腫瘍治療薬開発へ - 3社共同研究契約締結



近年、増加傾向にある悪性脳腫瘍は、手術や化学療法、放射線療法といった既存治療でも根治が困難な難治性の疾患です。再発した場合、有効な治療法はほとんど存在せず、患者さんやご家族にとって大きな不安材料となっています。

この度、株式会社iXgene、慶應義塾大学医学部、そして住友ファーマ株式会社の3者は、この深刻な状況を打破するため、ゲノム編集技術を用いたiPS細胞由来神経幹細胞による画期的な治療薬開発に向けた共同研究契約を締結しました。

共同研究の目的と内容



本共同研究の目的は、ゲノム編集技術を駆使したiPS細胞由来神経幹細胞を用いて、悪性脳腫瘍に対する革新的な治療薬を実現することです。

慶應義塾大学医学部脳神経外科学教室の戸田正博教授が開発したこの技術は、治療用遺伝子をゲノム編集によりiPS細胞に導入し、神経幹細胞へと分化誘導させることで治療用細胞を作製します。

治療用遺伝子として用いられるのは、融合自殺遺伝子「yeast cytosine deaminase–uracil phosphoribosyl transferase(yCD-UPRT)」です。この遺伝子は、抗真菌剤「5-Fluorocytosine(5-FC)」を抗腫瘍剤「5-Fluorouracil(5-FU)」に変換する酵素の遺伝子です。

治療用細胞を患者に投与し、一定期間後に5-FCを投与することで、腫瘍細胞周辺に移動した細胞内でyCD-UPRT遺伝子が作動し、局所的に高濃度の5-FUを生成。これにより、腫瘍細胞を選択的に死滅させるというメカニズムです。

3社は共同で、この治療法の有効性と安全性を確認するための非臨床試験、もしくは予備試験を実施します。iXgeneが中心となり、慶應義塾大学医学部と住友ファーマが技術面で協力体制を築き、将来的な臨床試験実施を目指します。

各社の役割と期待



iXgeneは、iPS細胞技術とゲノム編集技術を組み合わせた研究開発で知られる、慶應義塾大学発のスタートアップ企業です。今回の共同研究では、非臨床試験の中核を担い、安全性と有効性のデータ取得に尽力します。

慶應義塾大学医学部は、戸田教授の革新的な技術を提供するだけでなく、その高い専門性を活かした研究開発への協力を惜しみません。

住友ファーマは、医薬品開発における豊富な経験とノウハウを活かし、本治療薬の実用化に向けた支援を行います。

この3者の連携によって、悪性脳腫瘍という難治性の疾患に対し、画期的な治療法の確立が期待されています。今後の研究の進展に注目が集まります。

ゲノム編集技術について



ゲノム編集技術は、DNA切断酵素を用いてゲノムDNA上の特定の配列を切断し、細胞のDNA修復機構を利用して遺伝子のノックアウトやノックインを行う技術です。この精度の高い遺伝子操作技術が、本治療法の根幹を成しています。

iXgeneについて



2020年設立のiXgeneは、ゲノム編集iPS細胞を用いた難治性脳疾患治療法の開発に特化した企業です。iPS細胞技術とゲノム編集技術を融合させ、既存治療では解決できない難病克服を目指しています。

会社情報

会社名
株式会社iXgene
住所
東京都新宿区内藤町1-6ラ・アトレ御苑内藤町グランガーデン204
電話番号

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