航空貨物業務の革新に向けて
航空貨物輸送の効率化と業務の省人化は、現在の物流業界が直面する大きな課題です。その中で、NXグループとAI、量子技術の専門企業であるグルーヴノーツの提携によって、混載仕立て業務の自動化に向けた実証実験が本格的に始まりました。
混載仕立て業務とは何か?
混載仕立て業務は、複数の顧客からの貨物を送り先別に整理し、航空機に搭載するためのパレットやコンテナにまとめる重要なプロセスです。この業務には、貨物の特性や到着期限など、多くの条件を考慮することが求められ、高度な専門知識と経験が必要です。しかし、現在の物流業界は深刻な人手不足に悩んでおり、効率化が迫られています。このため、混載仕立て業務は特に自動化が難しいとされていました。
提携の背景と目的
今年3月、NXグループはグルーヴノーツと資本業務提携契約を締結しました。グルーヴノーツは、自社のクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を通じて、最適解を提供する技術に特化しています。このプラットフォームは「組み合わせ最適化」と「数理最適化」を行う能力に優れており、今回の提携によって混載仕立て業務の自動化が実現する可能性が高まっています。
実証実験の内容
実証実験は5月より始まりました。今回のプロジェクトでは、特定のレーンと貨物種類に絞った条件下で業務プロセスを整理し、サンプルデータを基に最適化技術を利用した混載仕立て業務が行われます。実験結果を元に航空拠点での導入方法を検討し、幅広い航路に展開することを目指しています。
目指す成果
このプロジェクトでは、2025年までに航空貨物の混載仕立て業務にかかる時間を5%削減し、その後の5年間でさらに25%削減することを目指しています。さらに、他の輸送モードでも「MAGELLAN BLOCKS」を活用し、全体の物流効率を高めることが期待されています。
DX戦略の一環として
本実証実験は、NXグループが掲げるDX戦略の一環です。物流業界全体を見渡し、業務のデジタル化や効率化、省人化を推進することが目指されています。グルーヴノーツとの協業により、今後は倉庫の人員配置の最適化や貨物の予測、操配業務の効率化を進め、国内外の物流業務を改善していく計画です。
MAGELLAN BLOCKSの役割
「MAGELLAN BLOCKS」の特徴は、AIやLLM(大規模言語モデル)、量子コンピュータといった多様なテクノロジーを統合したクラウドプラットフォームです。これにより、データ分析や最適化機能を活用し、企業の課題解決を効率良く行うことが可能です。これが形成するシンプルなシステムを基盤に、技術の導入が容易に行えるため、業務の最適化が加速されることが期待されています。
この新しい取り組みが、航空貨物業務のみならず、物流全体の未来をどのように変えるかが注目されています。