医療の現場に変革をもたらすスタートアップ、メドリング株式会社がインドネシアで医療MaaS(Mobility as a Service)を活用した在宅医療の実証実験を始めました。このプロジェクトは、高齢者や医療アクセスが困難な地域に住む人々に向けたサービスを提供することを目的としています。
メドリングは、MRT株式会社のグループ企業として、ASEAN地域で医療DXを推進しており、今回の実証実験はトヨタ車体の関連会社PT. Sugity Creativesと連携して実施されます。インターネット通信を利用した移動診療車を用いて、遠隔地から医師による診療を行うという新たな形の医療サービスを提供します。
背景
インドネシアはASEAN諸国の中で医師の数が少なく、地域間での医療アクセスの不均衡が問題視されています。2023年の経済成長率は4.7%、2024年には5.0%と予測されており、これに伴い高齢者の数も増加しているため、医療ニーズが高まると見られています。しかし、医療インフラは十分ではなく、各国政府もデジタル化を進めています。このような状況から、メドリングのスマート在宅医療サービスが求められています。
特に、スペースX社が提供する「スターリンク」による高速インターネット通信の利用が、医療MaaSの実現を後押しする重要な要素となっています。これにより、医療サービスが普及する地域においてもネットワークが確保できるようになりました。
具体的なサービス内容
今回導入される医療MaaS車両には、必須のインターネット環境を備え、看護師などの医療従事者が乗務します。医師は原則として遠隔から指導や診断を行うシステムです。訪問を行う在宅医療施設は現地の医療機関または日系医療機関がオーナーとなり、メドリングがその運営をサポートします。
メドリングは、ASEAN地域でクラウド電子カルテ「MEDi」を通じて在宅医療を支援してきた実績があります。このシステムを利用して在宅医療のオペレーションを管理し、効率的な医療提供を目指します。MRTは日本国内でも医療人材プラットフォームを展開しており、医師確保のためのノウハウを蓄積しています。さらに、ASEAN地域で活動するDocquity社との提携により、40万人以上の医療従事者とのネットワークを強化し、医療MaaSの運営をスムーズに行う基盤も整備しています。
事業展開の準備
メドリングは2024年8月から実証実験の準備を始め、考えられるオペレーションのノウハウを構築していきます。2025年初頭には実証実験を完了し、1施設目の開業を目指します。目標はASEAN地域の医療DXプラットフォームの構築であり、地域の健康課題を解決していくことです。
今後の展望
ワカサクリニックグループのノウハウを活かしながら、地域の患者へのサービス提供を強化していく予定です。メドリングは、既存の医療インフラと新たな技術を組み合わせることで、インドネシアのみならず、ASEAN全体で医療の質を高めることに寄与していきます。安部一真代表は、この実験が成功すれば、他国への展開も視野に入れていると述べています。電話やメールでの問い合わせも受け付けていますので、興味のある方はぜひ連絡してみてください。