EVERSTEEL、向山工場でのAI導入で鉄スクラップ業務を改革
株式会社EVERSTEELが、埼玉県川口市にある向山工場に鉄スクラップAI解析システム「鉄ナビ検収AI」を導入することを発表しました。このシステムは、検収作業の効率化と標準化を目的としており、迅速に運用が開始される予定です。
導入の背景
鉄スクラップの検収業務は、電炉メーカーにとって非常に重要なプロセスですが、従来は熟練作業員による目視検査に依存していました。向山工場は、高度なスキルを持つ人材の高齢化や部門間の人員再配置に直面し、「誰でも安全かつ正確に検収可能な環境を整える」ことが急務でした。特に、雇用難や若手人材の採用難、さらには危険物の混入リスクが挙げられる中、持続可能な対応策の必要性が高まっていました。
久喜工場は立地条件が厳しい首都圏にあり、高効率な操業体制が求められています。そのため、「鉄ナビ検収AI」の導入は、視覚検査からの脱却を果たし、検収データのリアルタイム収集と可視化を実現します。
導入の概要
このAIシステムの導入に際しては、屋内スクラップヤードの全4レーンに撮影装置を設置します。AIによる画像解析に基づき、検収業務の属人化を解消し、作業負荷を軽減するとともに、品質の安定を図ります。また、今後はAIで蓄積されるデータを活用し、購買管理や配合計画など他の業務との連携を強化しつつ、製鋼現場全体の業務効率化を目指します。
今後の展望
向山工場への導入により、「鉄ナビ検収AI」は関東エリアで既に6工場に拡大しています。これまでの取組みは各工場の最適化に焦点を当てていましたが、今後はデータ連携を通じて関東全体での最適化を図る構想が進んでいます。各工場間での協力体制が整うことで、品質管理を標準化し、原料調達の最適化を実現していく方針です。この横断的な活用基盤が整うことで、個別工場では実現が難しかったウィンウィンの体制構築が可能になるでしょう。
向山工場のコメント
向山工場の代表取締役社長、向山寧氏は、「このAIによるスクラップ検収システムは作業者の判断を補完し、より正確で安全な検収体制を構築するための重要なステップ」と述べています。技術の導入により、次世代の人材育成にもつなげ、業務の習得期間短縮を目指す意向を示しています。
EVERSTEELのコメント
EVERSTEELの代表取締役、田島圭二郎氏は、「鉄ナビ検収AIは業務の属人性を解消し、安全で正確な環境を提供する意義深い取り組みです。AIは単なる自動化ツールではなく、現場力を向上させる仕組みとして位置付けています」と強調しました。さらに、現在の国内鋼材需要の低下を背景に、変動リスクに柔軟に対処可能なデータ基盤の構築が重要であることを述べました。彼は、「鉄スクラップ現場の効率化と安全性の向上に向け、今後も持続可能な技術の実装を進めていく」と改めて国際部門への取り組み姿勢を示しました。
各社の概要
株式会社向山工場
- - 所在地: 埼玉県川口市幸町3丁目9番1号
- - 代表者: 向山 寧
- - 設立: 昭和21年10月1日
- - 会社HP: リンク
株式会社EVERSTEEL
- - 所在地: 東京都文京区本郷7-3-1
- - 代表者: 田島 圭二郎
- - 設立: 2021年3月16日
- - 会社HP: リンク