JCBとミャンマー軍との取引問題
日本のカード会社JCBがミャンマーのUAB銀行との関係を継続していることが、国内外での市民社会からの批判の的となっています。この銀行は、ミャンマー軍が国際犯罪に関与していることが指摘されており、そのため制裁を受ける可能性がある企業の一つです。特に、JCBはUABとの連携に関する質問に応じておらず、その沈黙が問題視されています。
JCBとUAB銀行の関係
UAB銀行は、ミャンマー軍に対する支援を行っている金融機関の一つとして、国連の特別報告者からも指摘されています。2024年6月には、UABがミャンマー軍に航空燃料を提供する企業への支払いを行っていることが明らかになりました。この情勢に対し、国連特別報告者は、金銭的支援がミャンマー軍による民間人に対する攻撃を助長していると警告しています。
特に、軍政は無差別空爆を激化させる中で、UABの存在はその活動を支える重要な要素とされており、そのためにも国際社会からのさらなる圧力が必要とされています。UABとその関係を持つ企業に対し、国際的な倫理基準に基づいた行動が求められています。
市民団体の質問状
2025年7月17日、ジャスティス・フォー・ミャンマーやメコン・ウォッチを含む日本の市民団体は、JCBに対して質問状を送付しました。その内容は、JCBがUABとの取引を続けることが持つ人権面でのリスクについて問うものであり、具体的には以下の三点が挙げられました:
1. ミャンマーにおける事業活動に関連した人権デューデリジェンスの実施状況。
2. 国際犯罪に加担するリスクをどのように評価し、軽減しているか。
3. 国連特別報告者からの勧告を受けて、UABとの関係を終了する意向があるか否か。
しかし、JCBからの返答は未だありません。この無反応に対して、市民団体は批判を強めています。彼らは、企業が自身の利益を守るために人権問題を無視することは決して容認できないと訴えています。
倫理的問題と国際人権責任
メコン・ウォッチの事務局長、木口由香は、「日本企業は利益追求の中で国際的な人権基準を無視してはならない」と強く訴えています。また、JCBの沈黙は、同社が国際的なブランドとしての信頼を損なうものであり、人権問題への責任を果たすことが不可欠であると指摘しています。
ジャスティス・フォー・ミャンマーのヤダナーマウンは、JCBが依然として軍政の支援に関与していることを容認できないと述べ、即刻の対応を求めています。
JCBの今後の対応に注目
2025年11月現在、JCBは市民団体からの質問状に対し、一切の回答を行っていません。このまま沈黙を続けることが、同社にとって長期的に信頼性を失うことにつながる可能性が高いことは明白です。国際的な人権基準に基づき、JCBがどのように行動を変えるのか、注目されるところです。
この状況が解決に向かうことを願い、関心を持つ市民として声を上げ続けていきたいと思います。