高齢者の健康寿命を延ばす新プロジェクト
日本では高齢化が進んでおり、高齢者の健康寿命を延ばし、介護が必要な状態を防ぐための取り組みが求められています。このたび、NECや地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター、筑波大学、FrontActの4者が共同で、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の公募に採択されたプロジェクトを発表しました。この研究は、「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業」として、令和7年度に実施されることが決定しました。
プロジェクトの目的と内容
この研究の目的は、高齢者が健康を維持し、介護が必要な状態になるリスクを軽減することです。具体的には、プレフレイルやフレイルと呼ばれる状態を抱える高齢者を対象としたウェアラブルデバイスを活用し、行動変容を促進して健康状態を改善することを目指します。
研究では、以下の2つのウェアラブル機器が使用されます。
1.
NECの歩行センシングインソール「A-RROWG」
このデバイスは、高齢者の歩行を計測し、リアルタイムで健康状態を把握できる機能を備えています。歩行データの分析を通じて、身体の動きに関する知見を提供し、介護が必要になるリスクを低減する手助けをします。
2.
FrontActのリストバンド型活動量計「ミモリー(MiMoRy)」
この活動量計は、日常の身体活動をモニタリングし、ユーザーが自身の健康状態を把握するための情報を提供します。個別の活動量に基づく健康状態の把握は、日常生活における小さな変化を見逃さないために重要です。
デジタルヘルスへの取り組み
本研究において使用される「高齢者の方々の行動を変えるアプリ」は、東京都事業で開発されたもので、スマートウォッチなどのデジタル機器を活用した健康づくりを支援します。特に、フレイル予防に向けての科学的根拠を積み重ねるために、ランダム化比較試験(介入群と対照群に分けて効果を検証する手法)を行います。統計解析は筑波大学が担当し、客観的なデータに基づいて効果を検証します。
期待される成果
これまでの研究では、デジタル機器によるフレイル予防の効果に関する科学的根拠が不足しているとの指摘がありますが、本研究は大規模かつ長期間にわたる試験を通じて、信頼性の高いエビデンスを提供することを目指しています。こうした取り組みを通じて、一人ひとりの高齢者が自ら健康へ取り組むためのモチベーションを高め、より健康的で活力のある社会を実現できるでしょう。
関連リンク
このような最新の研究開発は、高齢者が安全で活力ある生活を送るための一助となり、将来のヘルスケア社会を支える重要な基盤となるでしょう。