廃タイヤから誕生した新素材『Samurai Black20』
2024年8月2日、サムライカーボンズ株式会社が、使用済みタイヤから再生したカーボンブラック『Samurai Black20』(以下SB20)を発表し、業界に新風を巻き起こしました。これまでにないサステナブルな原料として注目を集めています。日本国内ではこのタイプのカーボンブラックの生産が初めてとなります。
SB20は、バージンカーボンブラックに最大で20%まで混合可能な再生カーボンブラックです。具体的には、バージンカーボンブラック(vCB)と再生カーボンブラック(rCB)の比率を80対20にすることで、ゴム物性を維持しつつ、環境への負荷を大幅に削減しています。実際に、1トンのSB20を使用することで、約3トンのCO2排出を削減できるというデータも届いています。
再生カーボンブラックの特性とゴム物性
SB20の販売に先駆け、同社ではさまざまなゴム物性評価が行われました。具体的には、引張強度や引張伸び率といった実験が実施され、その結果も公開されています。
- - 引張強度に関しては、100%バージンカーボンブラックが26.2MPaに対し、SB20は24.2MPaで約7.7%劣ります。
- - 一方、引張伸び率は494%に対し、SB20は536%と8.5%向上する結果が出ています。
これにより、SB20が実際の製品においても適用可能であることが確認されました。
環境への貢献
何よりもSB20の最大の特徴は、環境に対する強い配慮です。新品のカーボンブラックに比べて、再生カーボンブラックのCO2排出量は約60%も削減されます。この取り組みは、持続可能な製品のニーズに応えるだけでなく、企業の環境負荷を軽減する効果も期待されます。
今後の展望
サムライカーボンズは、ただ単に再生カーボンブラックの販売を行うだけでなく、様々な企業と連携し、実証実験を行いながら、SB20のさらなる発展を目指しています。これにより、製品の特性を改善したり、価格を抑えたりといった取り組みも進めています。また、今後特別な技術を用いた処理を行い、再生カーボンブラックの品質向上を図ります。
SB20の販売価格は、現時点では1kgあたり326~500円を目安としています。サンプルの無償提供も行っており、これからの展開に期待が寄せられています。
企業概要と今後の使命
サムライカーボンズ株式会社は、2022年に設立され、使用済みタイヤをリサイクルして高品質の再生カーボンブラックや再生油を生産しています。これらは環境保護とともに、製造業者にとってもコスト削減に寄与することが可能な製品です。彼らの研究と開発は、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。
今日の取り組みが、明日につながる。サムライカーボンズの挑戦は、環境配慮の新たなスタンダードを創造する可能性を秘めています。