コロナ禍に生まれた安定した車椅子用アイソレーター
新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るった2020年代初頭、株式会社エーディエフは、横浜市と共同で新しい車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)の開発に着手しました。その結果、2025年には特許を取得し、医療現場における安全性向上に寄与する製品が完成しました。
開発の背景と経緯
横浜市立市民病院は、新型コロナウイルスの疑いがある患者の受け入れを行う重要な役割を担っています。感染者の移送に関しては、ビニール製の陰圧車椅子が用いられることが一般的でした。しかし、患者数が増えるにつれて、このビニールカバーが破れる問題が頻発し、隔離機能が損なわれる事態となっていました。そのため、エーディエフと横浜市が手を結び、より強固な構造を持ったアイソレーターの開発が急務となったのです。
製品の特長
新たに開発されたアイソレーター「
あんくま(あんしんくるまいす)」は、アルミフレームと透明パネルを使用した設計で、以下の特長を持っています。
- - 隔離機能の強化:ビニールカバーに代わり透明パネルを用いることで、破れのリスクを大きく軽減しました。
- - 乗降のしやすさ:車椅子内には手すりがあり、体調不良の患者でも移動がスムーズに行えます。また、前面のシートが上に開く構造により、広い乗り口が確保されています。
- - 医療従事者への配慮:透明パネルにより視認性が向上し、感染者の状況を把握しやすくなっています。清掃も簡単で、感染リスクを低減する設計になっています。
現場の反響
実際に使用した横浜市立市民病院の看護師たちからは、移乗のしやすさや清掃の簡便さが高く評価されました。特に、パネル製で破損しにくい点や安定した構造に対する満足度が高かったのです。ふき取り時間に関しても、従来のビニール製陰圧車椅子と比較して、約1分25秒短縮されるなど効率化が図られました。これにより、医療現場での負担が軽減され、多くの患者を受け入れる準備が整いました。
未来への展望
エーディエフは、今後も医療現場のニーズに応える製品開発に力を入れていく考えです。「世の中にないモノを創造する」をスローガンに、新たな技術を取り入れながら、現場での声をきちんと受け止め、必要とされるものを提供し続ける企業でありたいとしています。これからも、患者と医療従事者の両方に配慮した製品設計を進化させ、様々な課題に立ち向かっていくことでしょう。
このように、コロナ禍で生まれた新型の車椅子用アイソレーターは、医療現場における安全性と効率を両立させる画期的な製品です。エーディエフの挑戦は、まだまだ続きます。