難病者と企業の架け橋：ピーペックが目指す新しい就労支援モデル

世界に挑戦するピーペックの挑戦

東京都世田谷区に本拠を置く一般社団法人ピーペックは、難病者と企業の双方のニーズに応える新しい就労支援モデルを立ち上げました。このイニシアティブは、難病を抱える人々に対する支援を通じて、企業の人材不足を同時に解決することを目指しています。

1. 助成金の獲得と事業の背景

このプロジェクトは公益財団法人筑崎福祉財団からの継続助成を受けており、初年度には2,000万円の助成を受けます。この助成金は2025年6月から3年間にわたる予定です。ピーペックの代表理事、宿野部武志氏は、難病者への支援と人材不足という二つの課題を同時に解決する重要性を強調します。

2. ピーペックについて

ピーペックは「PPeCC ; Power to the People with Chronic Conditions」という理念のもとに設立された非営利団体です。この団体は、病気を抱える人々が当たり前に働くことができる社会を目指しており、実際に実働メンバーの約半数が難病者で構成されています。彼らの経験を基に、病気を抱える方々の声を社会に届ける活動や、治療やサービスに関する研究を行っています。

3. 新たな就労支援モデル

従来の難病者に対する支援はスキルトレーニングや助成金を行う福祉中心の形がほとんどでした。しかし、ピーペックが提案する新たなアプローチは、企業と難病者の双方にとってウィンウィンな関係を築くことを目指しています。このモデルでは、企業の離職リスクや難病者の就労機会を同時に改善します。

4. 事業の具体的なステップ

ピーペックの新しい取り組みは次のステップで進行します：
1. 離職リスク調査: 企業内の健康問題を抱える社員の離職リスクを可視化します。
2. コンソーシアム設立: 企業間で「難病者の就労を考えるコンソーシアム」を設立し、アイデアや成功事例を共有します。
3. 自己管理スキル支援: 難病者に対し、自己管理スキルの向上を支援するプログラムを実施します。
4. 伴走支援: ピーペックのコーディネーターが難病者を支援します。
5. コミュニケーション支援: 必要に応じて、企業とのコミュニケーションを支援します。
6. 評価と改善: プログラムと支援内容を評価し、改善を行います。
7. 白書作成: 取り組みの成果をまとめ、社会全体に難病者が働ける環境を広めます。

5. 代表理事の思い

宿野部氏は自身の経験を元に難病者の就労に関する悩みの解決を強く願っています。彼自身も慢性疾患を抱えており、就職過程での障壁に直面してきました。病気を抱える人が社会で活躍できる道を作ることに情熱を注ぎ、持続可能な支援モデルを築いています。

ピーペックの活動を通じて、病気を持つ人々が自らの力を生かして社会に貢献できることを証明し、企業側にとっても価値ある人材を確保する良い機会となることを期待しています。これにより、難病者が普通に働ける社会が実現されることを心から願っています。