日本酒の棚田オーナー制度が新潟・十日町市で開始
新潟県十日町市の池谷集落で、2025年9月より「日本酒の棚田オーナー制度」がスタートします。この制度は、津南醸造株式会社とNPO法人地域おこしが共同で企画したもので、都市と農村が共に手を取り合う新たな試みです。
限界集落からの再生
このプロジェクトは、2004年の中越地震で被害を受けた限界集落である池谷集落の棚田を舞台に、地域資源の保持や育成、そして都市との交流人口を拡大する目的で始まります。日本酒の原料として使用されるのは、この地域自慢の魚沼産コシヒカリ「山清水米」。この米は昼夜の気温差や清らかな雪解け水の影響を受け、特有の甘みと香りを持つのが特徴です。
津南醸造では、この「山清水米」を用いて、地元の水とともに日本酒を仕込むことで、都市住民と農村をつなぐ新しい物語を創出します。完成した日本酒はオーナーとなった方々の元に届けられ、彼らが親しい人々との絆を深めるための酒となります。
体験型オーナー制度の魅力
「山清水米みんなの棚田」のオーナー制度は、参加型の体験プログラムを導入しています。オーナーには田んぼの一部分が割り当てられ、田植えから草取り、稲刈りまで実際の農作業に参加することが可能です。これにより、単に収穫された米を受け取るだけでなく、実際に農作業を体験し、地域の人々とのつながりを持つことができます。
農作業の体験は自由参加ですが、実際の日本酒仕込みに必要な最低ロットは360リットル。このため、オーナー参加者を継続的に募集しています。プロジェクトの進行とともに多くの人々が地域との絆を深め、新しい地域づくりの一端を担うことが期待されています。
豊かな自然と地元の誇り
池谷・入山集落は、全国的に有名な魚沼産コシヒカリの名産地です。厳しい冬を経て春に解ける雪解け水が大地に豊かに行き渡り、カエルや水生昆虫が棲み、初夏にはホタルが飛び交う美しい自然環境が広がっています。これらは、米作りに欠かせない要素であり、豊かな自然と共に農業の重要性を体現しています。
地域おこしの取り組み
中越地震の影響で集落の存続が危ぶまれた池谷集落では、NPO法人地域おこしが中心となり、地域の人々と協力しながら集落再生に取り組んできました。この結果、若い移住者も増え、地域の活性化が進んでいます。特に、自分たちの手で作り上げた米を消費者に届ける活動が、地域の誇りとして根付いています。
おわりに
日本酒の棚田オーナー制度は、地域振興における新たな一歩として注目されています。このプロジェクトに参加することは、単なる飲み手を超え、地域との絆を築く貴重な機会です。興味がある方は、ぜひオーナー制度の詳細を確認してみてください。地域資源を活かした新たな試みが、皆さんを待っています。