アプリで腰を守る
2019-08-07 19:14:35
介護業界の新たな腰痛予防策、ポケットセラピストの実証開始
介護業界の腰痛予防を支える新しい取り組み
日本の高齢化が進む中、介護業界では人材不足と腰痛問題が切実な課題となっています。全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は、介護職員の健康を守る新たな試みを開始しました。それが「ポケットセラピスト」というウェブアプリです。このアプリは、介護職員が腰痛から身を守るためのサポートを提供するために開発されました。
腰痛予防の背景
介護職は身体的に非常に負担の大きい業務です。そのため、腰痛を抱える介護職員は多く、特に高齢者をサポートするための身体的な負担は大きいと言えます。従来の対策として、天井走行リフトや介護ロボットなどが導入されてきましたが、これらは工事や運用の準備が必要であり、導入には時間やコストがかかります。
これに対し、ポケットセラピストは、スマートフォンなどで簡単に利用できるアプリです。利用者はあらかじめ情報を登録することで、自身の腰痛リスクを確認し、それに基づいたオーダーメイドのサポートを受けられます。
ポケットセラピストの機能
ポケットセラピストの利用者は、まずアプリにいくつかの情報を入力します。これにより、腰痛の慢性化リスクを可視化し、腰痛のタイプを判定します。その結果を基に、理学療法士が個々に適したプログラムを作成します。
また、アプリでは担当のセラピストとのマンツーマンでのチャットサポートが受けられ、腰痛や関連する活動量を可視化する機能もしています。これらの機能により、利用者は日々の生活や健康状態をチェックし、より良い改善策を見つける手助けを得られます。
初期の実証研究では、ポケットセラピストを使った介護職員が腰痛の程度が改善されたという結果が出ています。この結果からも、腰痛予防への期待が高まります。
健康な職場環境を目指して
ポケットセラピストは、運動療法や認知行動療法を基にしたアプローチを採用しており、単なる腰痛予防にとどまらず、生活習慣やメンタルヘルスの向上にも寄与する可能性が期待されています。また、腰痛リスクが高い場合には、医院への受診を勧奨する機能もあり、早期の対応が可能です。
全国老施協はこのアプリを利用した介護職員を公募し、実施することで、より信頼性の高いソフトウェアの開発を進め、介護職員の健康で働きやすい環境を構築することを目指しています。これにより、介護業界の人材不足解消や職員の離職防止にも繋がると考えられています。
このように、ポケットセラピストは介護業界に革新をもたらす可能性を秘めたツールであり、多くの介護職員がその恩恵を受けることが期待されます。
会社情報
- 会社名
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公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
- 住所
- 東京都千代田区平河町2-7-1塩崎ビル7階
- 電話番号
-
03-5211-7700