メタボリックシンドロームの現状
3月4日は「世界肥満デー」。この日を機に、メタボリックシンドローム対策の重要性が再認識されています。2025年には、日本でメタボ診断基準が策定されてから20年を迎えます。2008年に導入された「特定健康診査制度」では、生活習慣病予防のために健康診査や特定保健指導が推進され、メタボリックシンドロームのリスクがある40歳以上の人々に対して、生活習慣の改善が支援されています。
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積に伴う高血圧や高血糖、脂質異常などが組み合わさることで、心疾患や脳卒中のリスクが高まる状態を指します。特に、内臓脂肪は、健康だけでなく労働生産性にも悪影響を与えることが明らかになっています。健康状態が良くない労働者は、労働生産性が低下し、体調不良により年間100万円もの損失を被る可能性があるのです。
調査結果から見える課題
大正製薬が発表した調査によれば、メタボリックシンドロームと診断された300人のうち、71.3%が食事量に気を付けるようになったと回答。しかし、34.7%は「何もしない」と答えており、この結果からメタボ改善の取り組みにはまだ課題があることが見受けられます。当然、生活習慣の改善は簡単ではなく、サポートの必要性が高いと言えるでしょう。
新たな視点からのアプローチ
東京大学の古井祐司先生によると、メタボリックシンドローム対策は労働生産性の向上にも寄与する重要な施策です。健康経営を取り入れている企業では、社員が自らの健康状態を意識しやすくなるため、特定健康診査や特定保健指導の実施率が高い傾向にあります。企業が健康に配慮した環境をつくることも、メタモルの普及には欠かせません。
健康経営の重要性
特定健康診査は多くの企業で実施されていますが、特定保健指導の実施率は依然として低く、30%を下回ります。これは情報伝達や意義の理解不足が一因です。さらに、予防と治療の連携を強化することが必要で、企業と医療機関の連携を進めることも重要です。例えば、特定保健指導のプログラムを通じて、生活習慣の改善を助けることから、健康をなにより第一に考える文化が生まれるのです。
社会の協力と今後の展望
メタボリックシンドロームに関する知識や情報を普及させるために、国や企業が連携して情報提供をすることが求められます。具体的には、健康啓発のためのポスターやPR動画を作成し、広く配布することが考えられます。また、生活習慣改善に関する支援を手厚くすることで、職場での健康管理をより効果的に行うことができるでしょう。
終わりに
メタボリックシンドローム対策は、働き盛りの世代にとっての生産性向上につながるだけでなく、健康を保つために資する施策です。日本が直面する高齢化社会の中で、メタボ対策の重要性は一層高まっています。私たちが健康的な生活を送ることは、国全体の健全な未来を支える基盤となるのです。