インド・グルグラムにおける路上生活者の実態調査
NPO法人結び手が行った調査により、インド・ハリヤナ州グルグラム市の路上生活者と路上商人の実態が明らかになりました。この調査は60名を対象に実施され、教育、収入、デジタルアクセス、身分証の保有状況といった観点から分析されました。調査結果は、都市で生活する人々の実情を理解する上で重要なデータを提供しています。
調査の背景
インドでは、非正規労働者が多数を占める都市部での生活が続いています。路上生活者たちは、法的保護や社会サービスが不十分な中で、経済活動を行っています。今回の調査は、「都市の包摂性」を測るための重要なデータの収集を目的としています。
調査結果
教育の断絶
調査対象者の約82%が無就学またはほとんど学校に通っていないことが明らかになりました。その背景には、貧困や学校の不在、早婚が大きな要因とされています。これにより、将来的な教育機会が大きく制限されています。
所得の脆弱性
調査に参加した者の平均月収は11,355インドルピーであり、物乞いを生業とする者は平均9,000インドルピー、ストリートベンダーは19,000インドルピーとなっています。驚くべきことに、貯蓄を持っているのは参加者のうち1名のみでした。
デジタル格差
スマホの保有率は38%で、特に女性での保有率は21%と非常に低い状況です。全国的な世帯中のスマホ普及率は約85.5%に達しているため、この格差は顕著です。
身分証の壁
調査対象者の67%がAadhaar(インドの身分証)の権利を有していますが、住所や証明書の欠如により、社会保障制度へのアクセスが阻害されています。このことは、多くの人々が必要な支援を受けられない要因となっています。
支援の実態
調査を受けたほとんどの対象者が、政府からの支援を受けた経験が無いことがわかりました。多くの場合、教育や必要な資材はNPO法人結び手などの非政府組織に依存しています。
調査の意義
これらのデータは、都市生活者の視点を政策や企業に提供し、特に「見えない層」の実情を可視化する重要な役割を果たしています。代表理事の福岡洸太郎氏は、「数字の背後には人がいる」と強調し、データを通じてより包み込む社会を構築する意義を語っています。
取材可能情報
調査結果をもとに、メディアでの取り上げや政策論議の材として利用できる情報が整理されています。必要に応じて、主要グラフや事例を生かした取材が可能です。
まとめ
インドの都市部における路上生活者の状況は、教育や収入、デジタルアクセスの観点から大きな問題を抱えています。この調査結果が、より多くの人々に関心を持たれ、改善のための歩みが進むことを期待します。