大人の心に潜む子供時代への思い——映画『ひみつきちのつくりかた』

映画『ひみつきちのつくりかた』の魅力

日本の映画界に新風を巻き起こす若手監督、板橋知也の初長編作品『ひみつきちのつくりかた』が、2025年に待望の劇場公開を迎えます。監督は、絵画コンクールで数々の賞を受賞した実績を持ち、その独自の視点で描く物語は映画にも新たな感覚をもたらすことでしょう。快適な日常の中に埋もれた“心の子供”を描いた本作は、多くの人が共感するテーマを扱っています。

ストーリーの舞台裏

物語の中心には、佐藤という男がいて、彼の突然の死がきっかけで二度と再会することのなかった旧友たちが集まります。彼らは同じ町で共に過ごした少年時代を持ちながら、それぞれ全く異なる人生を歩んできた初老の男性4人です。彼らは葬式を伴に過ごす中で、忘れていた少年時代の思い出に浸り、佐藤が幼少期に残した「ひみつきち」の計画を再度実現させようと奮闘します。大人になった彼らが抱える様々な“大人の事情”と、忘れ去った子供心の交錯が、物語に深みを与えています。

板橋監督の独特な視点

板橋監督は、幼少期に過ごしたあきる野市を舞台に、自身の記憶を色濃く反映した背景映像を活用しています。彼の昔の景色を切り取るアプローチは、観る者の心に強いノスタルジーを呼び起こすでしょう。監督は自身の内面的な葛藤をキャラクターへ転写し、観客に普遍的なメッセージを届けています。

豪華なキャスト陣

本作の出演者には、インディペンデント映画界で唯一無二の存在感を誇る廣末哲万をはじめ、藤田健彦、佐藤貢三、もりたかおといった実力派俳優が集結しています。彼らのユーモアや悲哀が織り交ざる演技は、物語にさらなる味わい深さを加えており、魅力的なアンサンブルを見せています。

映画祭での羽ばたき

『ひみつきちのつくりかた』は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025」に正式出品され、ワールドプレミアとして世界に初めて公開されることが決定しました。この映画祭は若手映像クリエイターの登竜門として名高く、監督にとっての大きなステップとなるでしょう。また、2025年8月1日からは、下北沢のシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』でも公開が予定されています。