『ブラッド・コバルト』が明かす深刻な現状
2025年10月8日に株式会社大和書房より発表される書籍『ブラッド・コバルト コンゴ人の血がスマートフォンに変わるまで』は、現代社会が直面している根深い問題を浮き彫りにします。本書の著者シッダルタ・カラは、現代の奴隷制に関する専門家であり、この作品を通じてリチウムイオン・バッテリーに不可欠なレアメタル「コバルト」にまつわる非人道的な現実を描いています。
コバルトの背後にある現実
コバルトは私たちのスマートフォンをはじめ、自動車などの重要な資源ですが、その多くがコンゴで手掘りによって採掘されています。未だ電気の通っていない村で、子どもたちが人間らしい生活を送ることもできず、わずかな報酬で過酷な労働を強いられています。本書は、そうした現場での苦しみを生き抜くコンゴ人たちの証言を基にしています。
中国による供給と搾取の構造
さらに、コバルトの供給をほとんど抑えている中国の影響についても言及し、なぜこの国がその資源を掌握しているのかを解明します。これは単なる経済問題ではなく、現代の奴隷労働と密接に関わっており、私たちの消費行動がどのように影響を与えているかを考えさせられます。
特別推薦者たちの声
本書に対する推薦の声も多く、ライムスターの宇多丸や斎藤幸平がその内容を称賛しています。彼らは、スマートフォン使用の裏には現在進行形の搾取があり、私たちが加担者としての責任を持つべきだと警鐘を鳴らします。宇多丸は「私たちが今使っているスマートフォンも植民地主義と直結している不愉快な真実がそこにはある」と述べ、斎藤は「命よりも金を重視する資本主義の現実がここにある」と指摘しています。
書籍の構成と内容
本書は以下の章から構成されています。
- - 第一章 とてつもない富
- - 第二章 こんな場所なら生まれてこない方がいい
- - 第三章 山の奥の秘密
- - 第四章 搾取の歴史
- - 第五章 掘らないと食べていけない
- - 第六章 我々は墓場で働いている
- - 第七章 地獄のリアル
これらの章では、コバルト採掘の背後に隠された歴史や現実、労働者たちの声を深く掘り下げ、ただの貨物として見過ごされている現状を描き出します。
著者と翻訳者
シッダルタ・カラは、現代の奴隷制についての著作を数多く持ち、その知識と思索を基にして本書を書き上げています。また、翻訳者の夏目大は、様々なジャンルの書籍を手掛け、多くの読者に新たな視点を提供してきました。
結論
『ブラッド・コバルト』は、人々が知らず知らずのうちに支えている搾取の構造を浮き彫りにする重要な一冊です。今後のデジタル資本主義がどのような道を歩んでいくのか、私たち一人ひとりが注意深く考える必要があります。この本を手に取り、現代社会の隠された真実に目を向けるきっかけにしてほしいと思います。