はじめに
日本全国では、膨大な長さの下水道管が整備されていますが、老朽化が進む中で、その維持管理が大きな課題となっています。NNTドコモソリューションズ株式会社が、京都府流域下水道事務所および株式会社テムザックと共同で実施した下水道管路の検証プロジェクトが、未来の維持管理の在り方を示しています。
プロジェクトの背景
日本の下水道管路は、全国で約50万キロメートルに及び、そのうち約7%が耐用年数を超えています。そのため、老朽化による事故が発生するリスクが高まっています。特に、腐食による管の劣化は表面的な診断では判断できず、深刻な損傷につながる可能性があります。そこで、NTTドコモソリューションズはAIとロボット技術を導入し、定量的な評価を行うプロジェクトを設立しました。
プロジェクトの詳細
このプロジェクトは2025年の4月から12月にかけて行われ、京都府内の流域下水道管路を対象に進められました。テムザックによって開発された多脚式ロボットが、下水道内部を走行し、LiDARによるデータ収集を行いました。その後、NTTドコモソリューションズが開発したAIを使用することで、管壁の形状を推定し、劣化の深さや範囲を解析しました。これにより、下水道管の一部区間の腐食状況を定量的に把握することに成功しました。
劣化の早期把握
下水道管の劣化に関して特に重要なのが「減肉」の早期把握です。硫化水素などの影響で管壁が劣化し、外からは見えない部分の腐食が進行するため、初期段階での把握が重要です。今回の検証では、点群データを通じて新設時と現在の管壁形状の差分を算出し、減肉の発生状況を可視化することに成功。
劣化予測の適用
さらに、プロジェクトでは、京都府が持つ過去の点検データを使用して、劣化予測モデルを適用しました。これにより、劣化が進行しやすい区間や特定の条件における管路の期待寿命を算定し、実際の管理者の経験則とも一致したデータが得られました。
結論
このプロジェクトを通じて、下水道の点検業務に新たな技術を導入することで、劣化の早期発見や劣化予測が実現され、今後の維持管理業務における効率化が期待されます。NTTドコモソリューションズは、得られた知見を基に、さらなる研究と実践を通じて自治体や適切な事業者との連携を強化し、この技術を広く展開していく方針を示しています。