改正育児・介護休業法への企業対応の実態
最近、一般財団法人 労務行政研究所が2025年4月に施行される改正育児・介護休業法に関する企業の対応状況についての調査結果をまとめました。この研究において344社からの回答が得られた結果、当法案に対する実施状況や企業の考え方が明らかになりました。
調査の背景と目的
改正育児・介護休業法は、育児や介護中の従業員が働きやすい環境を整備することを目的としており、特にテレワーク制度の整備や雇用環境の改善が求められています。本調査は、各企業がこの法改正にどのように対応しているかを把握するために実施されました。
テレワーク導入状況
まずは、テレワークの実施状況についての結果を見ていきましょう。3歳未満の子を抱える従業員については、半数以上の57.3%が「既存のテレワーク制度で対応」と回答していますが、34.0%の企業は「対応する予定がない」としており、テレワークの導入に消極的な一面も見受けられます。また、介護を行う従業員に対しても、同様の傾向があったことが伺えます。
介護両立支援制度の整備
次に、介護関係の支援制度についての状況ですが、従業員が介護休業を取得しやすい雇用環境の整備が義務化されました。調査では、56.2%の企業が「相談窓口の設置」を行っており、これが最も多くの企業に実施されています。また、法改正後に新たに「利用促進の周知」に取り組んでいる企業も多く、具体的な施策の実施に熱心な様子が伺えます。
介護情報の提供タイミング
新たに義務付けられたのが、介護に直面する前の段階での情報提供です。調査によると、55.0%の企業が「年に1回、まとめて実施」と回答しており、情報提供の重要性が高まっています。この早期の情報提供が将来のニーズにどのように応えるのか、今後の課題につながるでしょう。
柔軟な働き方の実現
3歳から小学校に入学する子を養育する従業員に対しては、柔軟な働き方を実現できるよう措置が求められます。調査結果では、43.4%の企業が始業時刻の変更や短時間勤務制度を採用していることが分かりました。特に、対面での面談による周知方法も65.8%の企業で実施されており、柔軟な対応が求められつつあるといえます。
結論と今後の展望
今回の調査結果は、改正法に対する企業の実態を深く掘り下げており、テレワークや介護支援制度の導入が進んでいる一方で、未対応の企業も残るなど、二極化が進んでいることを示しています。これからの企業は、従業員が育児や介護と両立しやすい環境作りに努める必要があると考えられます。本調査を通じて明らかになった事実は、今後の育児・介護支援制度の在り方に大きな影響を与えることでしょう。
詳細な情報は、
こちらのPDFにてご確認ください。さらに、研究所の発行する『労政時報』でも詳しいデータが紹介されていますので、併せてご覧ください。