AIとプロテオミクスで進化する更年期障害の検査キット
近年、女性の健康問題として注目を浴びる更年期障害。その経済損失は年間約1.9兆円とも試算されています。これに対する解決の一手として、東京科学大学発のバイオベンチャーaiwell株式会社が、2026年の春に「更年期障害検査キット」を正式にローンチするためのプレモニターを開始しました。今回、愛媛県の不動産大手アート不動産が法人単位で参加し、社員やその家族に対する支援策の一環として新たな取り組みが始まります。
プレモニターの意義と背景
更年期障害は、多くの女性が経験する体調の変化であり、心理的・身体的な負担を伴います。しかし、残念ながら現在の診断方法は確定的ではなく、多くの女性が未検査・未治療のままとなっているのが現状です。aiwellは、独自のプロテオミクス技術を用いて、この問題に取り組みます。
本プレモニターの特徴は、法人参加による多様性の確保です。アート不動産が社員とその家族を対象にすることで、さまざまな年齢層や生活背景を持つ参加者が集まり、検証データの信頼性が高まることが期待されています。
科学に基づく新たなアプローチ
aiwellの検査キットは、最新の科学技術を駆使しており、プロテオミクス解析に基づいています。この解析手法は、血中の特定のタンパク質(バイオマーカー)を調べることで、身体の変化を可視化します。特に、多汗などの症状に関連するタンパク質に注目しており、従来のホルモン値に依存せずに、新しい方法で更年期障害を理解しようとしています。
産婦人科医の高尾美穂先生監修の下、この検査は女性の健康とウェルビーイング向上に貢献する新しいモデルとして期待されています。
アート不動産の取り組み
アート不動産は、社員の健康支援を経営課題として重視し、今回のプレモニターに参加することで、社員やその家族が安心して働き暮らせる環境の整備を進めています。代表取締役の吉田宏氏は、「社員の健康支援の一環として、安心して働ける環境を構築したい」と述べています。
今後の展開
aiwellは、プレモニターを通じて得たデータを基に、更年期障害に関連する症状のバイオマーカー精度を向上させると共に、検査・支援サービスの社会実装を推進する計画です。また、健康経営に取り組む企業や団体との連携を広げ、地域単位での予防や早期ケアの取り組みへとつなげていく方針です。
まとめ
女性の健康問題解決へ向けた新たなステップを踏み出したaiwellとアート不動産。科学的手法に基づいて更年期障害を見える化する試みは、今後の社会において重要な意義を持つと考えられます。生活の質を向上させるための一歩として、期待が寄せられています。