2000人を前にした決意と葛藤
與真司郎(あたえしんじろう)さんは、2023年7月26日に約2000人のファンの前で、ゲイであることを公表しました。この大胆な告白は、国内外で大きな反響を呼び、彼の人生に新たな道を照らすこととなりました。本記事では、彼がカミングアウトに至るまでの経緯と心の内を、特に前夜と当日について以下に詳述します。
カミングアウト前夜
2023年7月25日の深夜、都内の仮住まいの家には多くの関係者が集まっていました。與さんはこの日、読み上げるスピーチ原稿の最終調整を行いながら、自らの言葉が他者にどのような影響を与えるかを考えていました。何月も前から準備を重ねてきたものの、言葉一つで誤解を招くことがあるため、細心の注意を払ったのです。心の中では「100点の原稿を作りたい」という強い想いがあったものの、緊張と不安でいっぱいでした。
夜が更けていく中、スタッフたちと過ごす狭い空間にいることは、彼にとってストレスを増す要因となりました。やがて就寝前に普段は飲まない睡眠薬を服用し、過去の写真を見返すと、隠していた日々の辛さがフラッシュバックしました。しかしながら、「非難されても海外で生きていける」という思考を持ち、心の整理をつけようとしました。
本番当日
ついに本番を迎えた7月26日。與さんは「やるしかない」と自然と決意しました。なんとか、彼を応援するファンの期待に応えたいと願いながら、朝食を取って準備をしました。10時半にマネージャーに迎えられ、会場に到着すると、緊張感が漂っています。自分自身も緊張を感じつつ、場を和ますために冗談を交えました。
リハーサルでは、事務所を独立して初めてのイベントだったためにもどかしさも感じつつも、仲間たちが側にいる安心感を噛みしめました。最終的な準備が整い、待機中には多くの友人たちからの励ましのメッセージが届き、心が動かされました。
スピーチの瞬間
登壇寸前、緊張で落ち着かずにその場を歩き回る與さん。そこで、ドキュメンタリースタッフからの一言に助けられました。「お前ならできる」と。段々と感情が揺れ動く中で、言いたいことを言う勇気を見出しました。最後の瞬間が迫り、ステージに向かって歩くときの緊張感は言葉に表せないものでした。
目の前には約2000人のファンがいました。「今から言うんや……」という気持ちとともに、いざ「ゲイ」という言葉を口にする決断をした瞬間、人生の新たな一歩を踏み出すことができたのです。これ以降、彼の人生は大きく変わり、未来への希望を抱くことができた瞬間でした。
書籍リリース情報
與真司郎さんは、2025年4月16日に自身の半生を描いたエッセイ『人生そんなもん』を上梓します。これは彼のカミングアウトに関する詳細や心情を余すことなく綴った力作です。興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
(書籍概要)
- - タイトル:『與真司郎フォトエッセイ人生そんなもん』
- - 発行:講談社
- - 発売日:2025年4月16日
- - 価格:1,980円(税込)
- - ISBN:978-4-06-538728-3
與真司郎さんは、自身の経験をのみならず、 LGBTコミュニティへの理解促進に向けも努めていく姿勢を見せています。彼の勇気ある行動は多くの人々に勇気を与えることでしょう。