光量子コンピュータを取り巻く新たな挑戦と資金調達の意義について

光量子コンピュータの開発を目指すスタートアップ、OptQC株式会社が新たに6.5億円の資金調達を実施しました。リードインベスターはグローバル・ブレイン株式会社で、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社、デライト・ベンチャーズ、国立研究開発法人科学技術振興機構などが参加しています。この資金調達は、2026年4月に商用機の公開を目指す取り組みの一環として行われており、光量子コンピュータの商用化が期待されています。

光量子コンピュータとは？

量子コンピュータは、従来のコンピューターでは実行が困難な計算を可能にする次世代の情報処理技術として注目されています。特に、機械学習や新薬開発、金融リスク管理など、広範な分野での応用が期待されています。しかし、従来方式に基づく量子コンピュータは、産業応用に必要な大規模な量子ビットの実現が難しく、冷却など特別な環境を要求するため、消費エネルギーが高いという課題があります。そのため、研究や実用化の進展が妨げられてきました。

このような課題を解決するため、OptQCは光量子技術を採用しています。光量子コンピュータは常温常圧で動作し、高いスケーラビリティと高速な情報処理能力を兼ね備えているため、より柔軟で経済的な運用が可能です。

資金調達の背景と意義

今回の資金調達は、光量子コンピュータの商用機開発を加速するための重要なステップと位置づけられています。OptQCは東京大学の古澤研究室の研究成果に基づいて設立され、量子コンピュータの市場における競争力を高めるべく取り組んでいます。

代表取締役の高瀬寛氏は、投資家に感謝の意を示しつつ、事業計画への理解と建設的なフィードバックが今後の成長を大きく後押しすると語っています。2026年の商用機公開を見据え、情報技術革命を引き起こすミッションを全うする意気込みを示しました。

今後の展望

OptQCの光量子コンピュータは、特に研究開発の現場での実機導入が進む中、他の実装方式との競争が期待されます。グローバル・ブレインの百合本安彦社長は、これらの技術が長期的には量子コンピュータの最終形態となることを予測し、同社がその分野で地位を確立することを信じています。

また、デライト・ベンチャーズの南場智子氏も、OptQCが量子コンピュータ業界におけるイノベーションを牽引することに期待を寄せています。今後も様々な企業と連携し、次世代の情報技術産業を創造していくことが求められます。