Rab3A変異の発見
2026-01-21 11:17:10

新しい遺伝性脊髄小脳変性症の発見 - Rab3A変異が原因

Rab3A変異による新たな脊髄小脳変性症の発見



令和8年1月21日、徳島大学の研究チームが新しい遺伝性脊髄小脳変性症(SCA)の原因として、シナプス分子Rab3Aのミスセンス変異R83Wを突き止めました。この研究は、脳神経内科の宮本亮介特任講師、和泉唯信教授らの協力で進められました。今回の発見は、これまでの脊髄小脳変性症の理解に新たな光を当てるものとなります。

Rab3A変異とは?



Rab3Aは神経細胞で重要な役割を果たすシナプス小胞の放出を制御する分子です。この研究によると、R83W変異を持つRab3Aはシナプス足場タンパク質RIM1や小胞タンパク質Rabphilin-3Aと結合する能力を失い、結果として小脳内での信号伝達が損なわれることが明らかになりました。これにより、運動失調の症状が現れる可能性が示唆されています。


研究の背景



脊髄小脳変性症は、歩行のふらつきや運動障害を引き起こす進行性の神経変性疾患で、原因となる遺伝子はこれまでに40以上が報告されています。しかし、これらの多くはカルシウムチャネルや他の内因性のタンパク質に関連しており、シナプスレベルでの変異を示すものは限られていました。

Rab3Aは、神経伝達物質の放出を調節するシナプスの分子スイッチとして知られていますが、異常が疾患にどのように関与するかは未知でした。

研究の成果



1. Rab3A R83W変異の同定
家系内で直系の血縁の中で症状が共分離するRab3A R83W変異が全エクソーム解析によって発見され、その後320の患者コホートを基に孤発例も特定されました。

2. 小脳の病理分析
脳の剖検による分析では、プルキンエ細胞の著しい減少を伴う小脳皮質の変性が確認され、Rab3Aが平行線維に集中的に存在することが示されました。

3. 分子メカニズムの解明
R83W変異体はGTP結合能を保持しながらも、具体的な結合が失われ、細胞内での適切な輸送が妨げられることがComprizedされました。この結果、Rab3Aはシナプス前装置に正常に接続できない状態であることが分かりました。

この研究の結果は、小脳変性症や神経発達症の新たな関連性を考える上で重要であり、今後の診断や治療の可能性を秘めています。

未来への影響



Rab3A変異による神経変性症の知見は、運動機能に関する疾患だけでなく、自閉症スペクトラム障害などの神経発達症にも関連していることが示唆されており、新たな治療法の開発に向けた道を開くことが期待されます。さらなる研究が進むことで、Rab3Aを通じたシナプス小胞輸送の異常が、遺伝性小脳失調症や他の発達障害の原因であることが明らかになるかもしれません。研究の詳細については、Oxford University Pressの『Human Molecular Genetics』に掲載されています。


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