Flittoジャパンの挑戦
2018-07-18 11:52:23
日本のAI翻訳技術を加速するFlittoジャパンの挑戦と展望
日本のAI翻訳技術を加速するFlittoジャパンの挑戦と展望
近年、日本政府は「ソサエティー5.0」を掲げ、AI産業の発展に注力しています。この政策のもと、2018年度のAI関連予算は770億4000万円とされ、過去最大となりました。AIロボットや自動運転技術などが次々と開発され、AI産業は急速に成長しています。しかし、その中でも特にAI通訳や翻訳サービスは、まだ他国に比べて遅れをとっているのが現状です。
実際、日本では未だにGoogle翻訳などのツールが広く利用されており、日本企業が開発した独自の翻訳機はあまり普及していません。この状況は特に2020年に控える東京オリンピックを前にして、大きな課題となっています。八方手を尽くして、日本独自のAI翻訳機の開発が急務となっていますが、NTTドコモを始めとする企業がこの課題に立ち向かっています。
一方で、日本を訪れる中国人観光客は、百度が開発したAI翻訳機を多く利用していることも見逃せません。百度翻訳はGoogle翻訳を上回る評価を得ており、その背景には大量の言語データの蓄積があります。中国は言語データの確保に多くの投資をしており、これは百度の翻訳精度向上に大きく寄与しています。日本も同様に、「良質な」言語データが必要ですが、その供給に困難を抱えているのが現実です。
そんな中、フリット(Flitto)が日本に進出し、Flittoジャパンを設立しました。Flittoは韓国で設立された企業で、今や900万人以上のユーザーを抱え、24言語に対応する多言語翻訳プラットフォームを提供しています。彼らの特徴は、AI翻訳だけでなく、人力翻訳にも力を入れている点です。これまでの3年間で3倍もの成長を遂げ、特にAIブームの昨年以降、翻訳市場でも急成長を見せています。
Flittoは日本市場に本格的に進出することで、国内の言語データニーズに応える期待を寄せています。提供されるデータはテキストだけでなく、音声や画像など多様なフォーマットをカバーしており、特に医療や法律といった専門分野の言語データの収集・供給も行う予定です。これにより、AIと融合したサービスの質も向上し、さまざまな分野での利用が期待されています。
さらに、Flittoは2020年東京オリンピックの開催期間中、訪日外国人を対象に便利な翻訳サービスを提供する計画も進めています。音声、テキスト、画像など、異なる形式のニーズに応じた翻訳を迅速に行うことで、言語の壁を取り払い、「おもてなし」の精神を具現化します。特に、リアルタイムでの画像翻訳サービス提供も実施しており、観光施設の案内やメニューの翻訳に対応する方針です。
Flittoジャパンのリーダーである小野大介氏は、大手企業での豊富な経験を持つグローバルビジネスの専門家です。この新たな日本支社は、AI翻訳技術の向上のみならず、日本の企業とのパートナーシップを強化し、AI産業全体の発展に寄与することを狙っています。
日本のAI産業において、Flittoが提供する高品質な言語データは、今後ますます重要性を増すことでしょう。AI技術が進展する中、言語データをこうした形で供給できることは、翻訳市場全体にとって大きな転機になると考えられます。これからのFlittoジャパンの動きに、ますます注目が集まります。今後の展開から目が離せません。
会社情報
- 会社名
-
フリットジャパン株式会社
- 住所
- 東京都渋谷区恵比寿南一丁目 20 番 15 号アトリウム恵比寿南一丁目ビル 4 階
- 電話番号
-
03-4500-1794