バンコクにおける初の都市型地域冷房システムの運用開始
2024年10月31日、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(TGES)が、三井物産とガルフエナジーデベロップメント社との共同出資により、タイ王国初の都市型地域冷房システムの運用を開始しました。これは、バンコク中心街であるOne Bangkokプロジェクトにおいて導入され、環境負荷の軽減と省エネルギーを目指しています。
One Bangkokプロジェクトとは
One Bangkokは、広大な敷地にオフィス、ホテル、高級コンドミニアム、商業施設や芸術文化施設が集まった複合都市開発です。このプロジェクトは、バンコク中心部のルンピニ公園に隣接し、都市型地域冷房が導入されるのは国初という歴史的な意味を持ちます。開業を記念したセレモニーでは、TGESの小西社長や、Frasers PropertyのCEOが出席し、プロジェクトの成功を祝いました。
地域冷房の仕組み
地域冷房とは、街区内で製造した冷熱を、地域冷房センターを通じて各ビルに供給する方式です。このシステムにより、設備容量の最適化や省エネを実現し、また、それぞれのビルに冷熱設備を設置する必要がなくなるため、貴重なスペースを有効活用できます。
バンコクのような大規模都市においては、熱需要が高いため、このシステムの導入が特に効果的です。TGESは日本国内においても地域冷暖房事業を展開しており、新宿地域冷暖房センターを含む18か所での豊富な経験があります。これに基づき、One Bangkokのプラント設計や30年間のオペレーションを手掛けています。
高効率化の取り組み
One Bangkokの冷暖房センターには、エネルギーマネージメントシステム(EMS)が導入されています。これは、天気予報や過去の需要データを活用し、冷房負荷を予測するシステムです。これによって、高効率冷凍機や蓄熱システムを最適に運用し、冷熱の供給を行います。
また、再生水の活用も積極的に進めており、環境への影響をさらに低減する方針です。このように、環境感度の高いプロジェクトにおいて、TGESはその技術力を活かしているのです。
持続可能な都市開発の未来
One Bangkokは、環境性能や持続性の向上を重視しており、今年2月にはLEED Neighborhood Development Platinum認証を取得しました。これは、アメリカグリーンビルディング協会が定める環境性能評価システムにおいて最高評価を得たことを意味します。このような取り組みは、都市の持続可能性やスマートな事業運営を推進する重要な一歩となるでしょう。
TGESは、今後も海外事業を通じて得たノウハウを活かし、タイとその地域の持続可能な発展に寄与することを目指しています。脱炭素時代を見据えたこれらの技術は、今後ますます注目されるでしょう。