早稲田大学が新たに観光地経営プログラムをスタート
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターが主導する新しいプログラムが始まりました。このプログラムは観光地経営の人材不足を解消し、持続可能な観光地経営を実現するための教育基盤を提供することを目指しています。特に、北海道を重点地域に設定し、全国での展開を見据えた取り組みが進められます。
観光経営人材の現状
現在、日本の観光地経営に関する高等教育機関は欧米に比べると少なく、結果として観光地に必要な経営人材が不足しています。この人材の希薄化が観光戦略の欠如に繋がっていることが問題視されています。世界的に観光業は成長が見込まれる産業であり、その市場規模は1千兆円を超え、日本も観光競争力ランキングで第3位と評価されています。しかし、観光収入や訪問客数には思うように成果が現れていません。
特に北海道は、豊かな自然や食文化、ウィンタースポーツなど多様な観光資源を有していますが、観光単価や地元経済への還元率においては欧州の先進地域に大きく劣るのが現実です。例えば、スイスの観光単価は日本の6倍以上となっています。
本プログラムの目的
このプログラムは観光経営を新たな視点から見つめ直し、地域が自らの戦略を構築できるよう支援します。その基本方針は、観光を「経営」の視点から捉え直し、持続可能な観光地経営の仕組みを構築することです。
プログラム概要
プログラムは主に北海道内の4つの地域を対象に行われ、地域に根ざした観光地経営の戦略を練ることを目的としています。中核となるのは様々なプレイヤーが参加する「産・学・官・金・言」の連携による教育プラットフォームです。
プログラムの特徴は以下の4つのポイントにまとめられます。
1.
産・官・学・金・言の連携
北海道の観光業界に集う多様な関係者が教育プラットフォームのコアメンバーとなり、有意義な共創体制を築きます。
2.
アクションラーニング型
講義だけでなく、地域特有の課題をテーマにした戦略策定の演習を通じて、実践的な知識を身に付けます。
3.
エコシステムの構築支援
持続的な観光地経営を実現するためには、宿泊業者や飲食業者、行政など多くの関係者の協力が必要です。本プログラムは、これらの関係者との連携を促進します。
4.
全国ネットワーク化構想
将来的には各地域の観光地経営プラットフォームをネットワークで繋ぎ、知見や人材の交流を図ることを目指します。
事業責任者の見解
プログラムの責任者である池上重輔教授は、「この事業は地域経済を再生し、持続可能な発展を促進するための重要なステップであり、観光と経営の融合による地方創生の実現を目指します」と述べています。受講者のスキル向上だけでなく、その組織や地域全体への波及効果を期待されています。
早稲田大学の役割
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターは、ビジネスやファイナンスの研究を進めつつ、高度な専門知識を持つ職業人の育成にも力を入れています。この新たな教育プログラムがどのような成果を生み出すか、今後の展開に注目です。