次世代アーティストが示す工芸の新展開「皮膚と内臓」展

台南市美術館での新展「皮膚と内臓」展

台南市美術館で開催される展覧会「皮膚と内臓―自己、世界、時間」が、2025年10月3日から2026年1月18日まで実施されます。これまで毎年北陸で展開されてきた「GO FOR KOGEI」プロジェクトの一環で、台南市美術館との共催による本展は、現代アートや工芸の新たな可能性を追求する場として、10名の女性アーティストによる独創的な作品を展示します。

展覧会のテーマと背景

本展のコンセプトは、漫画『葬送のフリーレン』の主人公が魔王を倒した後の旅にメタファーを取り入れています。物語性を通じて、自己の在り方や世界との向き合い方を深く掘り下げていく展覧会として位置づけられています。キュレーターを務める秋元雄史が、皮膚と内臓という二つの重要な概念を通じて生きる感覚を呼び起こすガイド役となり、この展示を通して訪れる人々に新たなインスピレーションを与えることを目指します。

参加アーティスト

展覧会には、小林万里子、佐合道子、佐々木類、中田真裕、三嶋りつ惠、宮田彩加、牟田陽日、山下茜里、留守玲、綿結の10名が参加します。これらのアーティストたちは、それぞれの視点で身体、時間、感覚をテーマにした作品を展開し、近年の日本における女性アーティストの表現活動を代表する存在です。

アートに込められたメッセージ

彼女たちの作品は、身体的な直接性と感覚的な経験に基づいており、内面的な探求を重視しています。特に、草間彌生のような先駆者たちの精神を引き継ぎつつ、現代の視点で自己を表現する姿勢が顕著です。例えば、山下茜里は銀色の皮膚を持たない人物を描くことによって、人間の本質に迫ることを試みています。また、宮田彩加は自身の体調に関連したMRI画像を作品に取り入れ、身体の変容や不確実性をテーマにしています。

展示内容の具体的な見どころ

Gallery A: 記憶と感情

このセクションでは、記憶や感情の視覚化がテーマとなります。牟田陽日は、陶磁器に描かれた図版を通じて自身の視点で「自然観」を創出します。

Gallery B: 旅

ここでは佐々木類の作品を中心に、境界を越えて自己を見つける探求の旅が描かれます。彼女は植物を採取し、それを素材に用いて、旅による発見を書き表しています。

Gallery C: 出会い

このギャラリーには、三嶋りつ惠のガラス作品など、多様な材料が集められ、他者との繋がりを強調した展示が展開されます。

Gallery D: 生と死

死が終点ではなく記憶の中に生き続ける様子を描いた作品が揃います。ここでは特に、山下と宮田の作品が、身体のリズムと感情を問い直します。

「GO FOR KOGEI」と国際的な展開

「GO FOR KOGEI」は、工芸の再考を促進するために、北陸の豊かなものづくりの文化を背景に設立されたプロジェクトです。また、国際的な展開として、フランスや韓国、イギリス、台湾などでの特別展示が予定されています。このプロジェクトは、日台双方の文化における工芸とアートの交流を促進し、新たな視覚的対話を生み出すことを目指しています。