国産初のエンベデッドディープラーニングフレームワーク「KAIBER」の発表
ディープインサイト株式会社が、IoTデバイスに最適化された国産初のエンベデッドディープラーニングフレームワーク「KAIBER」を発表しました。このフレームワークは、急速に発展するIoT分野におけるディープラーニングとエッジコンピューティングの融合を目的としており、新たな産業の可能性を広げることを狙っています。
KAIBERの開発背景
IoTデバイスの数は今後、数百億に達すると予想されています。膨大なデータをクラウドへ送信して処理する方法では、リアルタイムでのデータ分析や対応が難しくなります。そこで必要とされるのが、ディープラーニングとエッジコンピューティングの統合です。これにより、自動運転、医療機器、スマート家電、ウエアラブルデバイスといった分野でのデータ処理が効率化されます。
ディープラーニングは、さまざまなデータを解析し、それに基づく判断を行う能力が求められ、一方でエッジコンピューティングは、データ処理をデバイスの近くで行うことでリアルタイム性を確保します。この2つの要素の組み合わせを実現するためには、使い勝手が良く、柔軟性のあるエンベデッドディープラーニングフレームワークが不可欠です。
現在、多くの汎用ディープラーニングフレームワークは、小型デバイスでの利用を想定しておらず、実用化に向けての課題が残されています。また、オープンソースのフレームワークは試作には便利でも商用サポートが充実しておらず、ビジネスに活用するにはハードルが高いのが現実です。
KAIBERの特長と用途
「KAIBER」は、DNN(Deep Neural Network)を用いた学習・開発環境を提供し、生成された推論実行モジュールを様々な小型デバイスやエッジサーバーに簡単に組み込むことができます。これにより、ディープラーニング技術をIoTシステムにスムーズに導入できる環境を整えます。特に、ディープラーニングフレームワークの開発は高度なスキルが求められ、KAIBERのように組み込み分野に特化したフレームワークは非常に希少です。
このフレームワークは、特に以下のような特徴を持っています:
- - モジュールの簡単な組込: 学習サーバーと完全に分離された推論実行モジュールは、多様なデバイスやアプリに簡単に統合可能です。
- - 純国産技術: 開発者自身がすべてのコードをゼロから作成し、プロジェクトに合わせた柔軟なサポートが可能です。
- - 迅速なアーキテクチャへの対応: フレームワーク全体はJavaで開発され、推論モジュールはC言語でも提供されます。これにより、新しいデバイスへの迅速な適応が可能です。
- - 柔軟な課金モデル: 標準版の推論実行モジュールは無償で配布され、少量からのテスト販売ができます。また、様々なデバイスに最適化されたロイヤリティ方式も準備されています。
今後の展開
「KAIBER」は、現在クローズドベータテストを実施しており、2016年12月には提携企業への提供が始まる予定です。また、来春には商用ライセンスの有償提供も見込まれています。
エッジコンピューティングについて
エッジコンピューティングとは、データ処理を中央サーバーからユーザーの近く、つまりネットワークのエッジで行う技術です。これにより、コスト削減とレスポンスのリアルタイム性の向上が図れます。IoTシステムでは、デバイスと遠くのクラウドだけでは不十分で、エッジでの計算処理が重要であることが認識されています。
会社概要
ディープインサイト株式会社は、「告往知来」という理念のもと、ディープラーニング技術を通じて未来を見通す力を育成するテクノロジーベンチャーです。「KAIBER」を初めとした先進的なソリューションを開発し、IoTとエッジコンピューティングの革新を進めています。公式ウェブサイトやコンタクト情報については、
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