新しい時代の鉱山設備メンテナンスをサポートする新技術
日本精工株式会社(以下、NSK)は、リコンディショニングに対応した高負荷容量の大形円すいころ軸受を業界初として開発しました。この新しい技術は、鉱山設備のメンテナンス効率を大幅に向上させ、コストの削減と環境負荷の軽減を同時に実現することを目指しています。
開発の背景
鉱物資源の需要が増加する中で、鉱山業界では持続可能な運営が求められています。特に、カーボンニュートラルに向けた取り組みが重要視され、機械の電動化や設備のメンテナンスの効率化が進められています。この新しい円すいころ軸受は、過酷な環境で使用されるダンプトラックや粉砕機に最適です。
従来の軸受は、メンテナンス時にほぼ全数を廃棄せざるを得ない状況でしたが、今回の開発により、リコンディショニングが可能になり、軸受寿命を最大2倍に延ばすことが実現しました。これは、NSKが独自に開発した「NSK Micro-UT™法による高精度寿命予測技術」によって実現されています。
技術的特長
本開発品は、以下の特長を持っています:
1.
長寿命化と高負荷容量化
- 新しい技術により、軸受の寿命を最大2倍に延長し、長期間の使用が可能になります。これにより、ダンプトラックや粉砕機の稼働をスムーズに行うことができます。
2.
分離構造化
- 軸受内部の詳細点検が容易に行えるよう設計されています。「小つば」の部分を分離することで、全部品のチェックが可能となり、メンテナンスが格段にしやすくなります。
3.
脱落防止構造
- 過酷な振動環境でも安心して使用できるよう、部品が脱落しないような構造を採用しました。これにより、運転中のトラブルを大幅に減少させることに成功しました。
環境への配慮
新しい円すいころ軸受の導入は、メンテナンスコストの削減や、CO₂排出量の削減にも寄与します。例えば、ダンプトラックの場合、軸受の修復が可能になることで、交換する必要がある部品数が削減され、総合的な環境負荷も軽減されます。試算によれば、計算上では3,102 kg-CO₂の削減が見込まれています。
今後の展望
NSKは2025年に向けて、さらなる市場拡大を計画しています。鉱山設備メーカーへのサンプル提供を始め、セメント業界など他分野への展開も視野に入れています。2030年にはこの技術によって年間20億円の売上を目指しています。
NSKは、確かな技術を基にした新しい製品を通じて、持続可能な社会の実現へ寄与していきます。軸受のリコンディショニングは、エネルギー資源の有効活用・環境保護の両立を目指す上での重要な要素となるでしょう。これからの鉱山設備における革新に期待が寄せられています。
詳しい情報は、NSKの公式サイトをご覧ください。