東京都が公開した「東京いきもの台帳」第2弾
東京都が、地域の生物多様性を知るためのデジタル版野生生物目録「東京いきもの台帳」の更新を行いました。これは、市民参加による貴重な野生生物情報の集積を目指すプロジェクトであり、今回のアップデートでは「クモ目録」と「セミ目録」が新たに加わりました。
2023年の国際生物多様性の日を契機に
今回の発表は、国際生物多様性の日に合わせて行われ、2022年に公表されたトンボ類に続く第2弾の情報提供となります。長年にわたり収集されたデータに基づいて、都内で確認された693種のクモ類と17種のセミ類の記録がまとめられました。古くは145年前からの標本記録から、最近のスマホアプリを使用した市民の調査結果まで、多様な情報源から集められたデータです。
この結果、693種のクモ類は全国的に見ても群を抜いて多く、国内で記録されているクモの約40%に該当します。これは、東京の環境が昆虫類に豊かであることを示し、豊かな生態系を育む森や里山、市街地、そして島嶼などの多様な環境によるものと考えられています。さらに渋谷区などでは人為的に持ち込まれた南方系の名前の付いたセミも観察されており、市民調査によってその広がりが確認されました。
市民参加型の調査イベントを実施
「東京いきもの台帳」のアップデートを記念し、スマホアプリ「Biome」を使い、ユーザーによるいきもの調査イベントもスタートします。このアプリを通じて、参加者は実際の野外で対象の生物を見つけ写真を撮るというクエストに挑戦できます。楽しいゲーム感覚で生物調査を体験できるこのイベントは、市民が身近に触れることで生物多様性に対する理解を深めることを意図しています。
調査イベントは2025年5月22日から7月9日までの期間中に行われ、参加者は「Biome」アプリを通じて対象種を投稿することが求められます。このプロジェクトは、普通の市民でも手軽に参加でき、かつ貴重なデータを提供する機会となっています。
「東京いきもの調査団」の取り組み
今回の目録作成や調査イベントは、東京都が立ち上げた「東京いきもの調査団」の活動の一環です。専門家から市民まで、多様な参加者が集まり、デジタル生物情報を介して人々の知識と理解を深めることを目指しています。この取り組みは、東京都の環境保護および生物多様性の維持に注力する施策の一部としても位置づけられています。
まとめ
東京都が推進する「東京いきもの台帳」は、ただのデータベースに留まらず、市民が積極的に参加することで生物多様性の保護や啓発に寄与する重要なプロジェクトです。今後も、市民の協力を得ながら、さらなる情報の収集と更新が進んでいくことでしょう。興味がある方は、ぜひアプリをダウンロードして活動に参加してみてはいかがでしょうか。公式ウェブサイトに詳細が掲載されていますので、ぜひチェックしてください。