日本における難聴治療の遅れとその影響についての調査結果
日本における難聴治療の遅れとその影響
3月3日は「耳の日」です。この日は聴覚の健康を見つめ直す良い機会であり、耳鼻咽喉科月間でもあります。この日を機に、コクレア社が2024年に実施した調査結果が話題を呼んでいます。調査タイトルは「健康な耳で、健康な日々を(Healthy Ears, Healthy Years)」で、アジア太平洋地域全体の聴覚健康に関する認識や難聴治療の利点についての状況が明らかになりました。
この調査には、アジア太平洋地域に住む4,000人以上が参加し、日本からは1,200人が回答しています。分析の結果、対象者の多くが聴覚の健康を保つ行動を後回しにしていることが分かりました。特に日本では、難聴が診断されても「日常生活に支障が出るまで治療を求めない」という回答が40%と、他のアジア太平洋地域と比較して非常に高い数字でした。
日本における聴覚健康意識の低さ
調査結果によると、日本では普段の生活において聴覚に異変を感じても、60%の人がすぐには医師の診療を受けないと回答しています。また、27%は「自分で対処する」や「加齢として受け入れる」といった選択をしています。こうした行動の背景には、専門家への相談や治療に関する認識不足があると指摘されています。
一方で、すでに難聴の治療を受けた人の中で、アジア太平洋地域では98%、日本では85%が「治療後に生活の質が向上した」と回答しています。この数字は、早期の相談と治療が効果的であることを示しています。
費用への懸念が行動を制限
また、日本では難聴治療にかかる費用への懸念も影響を及ぼしています。調査では44%が治療費を心配しており、このために検査を受けることや医師の診察を先延ばしにしている現状が明らかになりました。28%が検査を避け、30%が治療を延期し、25%が手術を先延ばししています。これは、聴覚の健康を守るための大きな障壁となっています。
東海大学医療センターの和佐野浩一郎准教授は、
「多くの人が聴覚の低下に気づく前に受診のタイミングを逃してしまいます。しかし、適切なタイミングで医師に相談することで生活に大きな改善がもたらされることが分かっています」と指摘します。
聴覚障害の現状と未来の見通し
現在、世界的に見ても約15億人が聴覚障害に悩まされており、この数は2050年には25億人に達すると予想されています。特に、西太平洋地域では、聴覚障害を抱える子どもたちも多く、そのうち早期の治療が重要であることは間違いありません。早期に適切な治療を受けることで、言語能力や社会的スキルの発達に寄与します。
私たち自身の健康を守るためには、聴覚の変化に気づいた際にすぐに行動を起こすことが大切です。耳鳴りや聞こえにくさを感じたら、専門の医師に相談することが勧められています。
コクレア社の取組み
コクレア社は、難聴者のために効果的な医療機器を提供する企業であり、人工内耳や骨導補聴器などを世界中に展開しています。1981年から、社会の聴覚に関する認識を高めるため、様々な取り組みを行っています。日本でも1989年から活動を始め、多くの聴覚障害者への支援を行ってきました。
聴覚の健康は、日常生活の質を大きく左右します。難聴やその治療についての理解を深め、迷っている方々はぜひ専門家に相談してみてください。治療によって得られる恩恵を、多くの人が実感できる未来を目指しましょう。
会社情報
- 会社名
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株式会社 日本コクレア
- 住所
- 東京都文京区本郷2-3-7お茶の水元町ビル
- 電話番号
-
03-3817-0241