企業におけるリスキリング施策の実態調査と生成AI活用の新たな潮流
リスキリング支援サービス『Reskilling Camp』を展開するパーソルイノベーション株式会社が、2024年9月版の企業リスキリング施策に関する実態調査を発表しました。この調査は四半期ごとに全国の企業の従業員を対象に行われており、今回で7回目となります。調査のテーマは業務における生成AIの活用とリスキリングの関係性です。
リスキリングの定義と調査目的
リスキリングとは、今の職業に必要なスキルの習得や新たな職業に就くためのスキルを獲得することです。パーソルイノベーションの調査は、企業がリスキリング施策をどの程度実施しているのか、また、生成AIの活用がどのようにリスキリングに寄与しているのかを探ることを目的としています。
調査結果の概要
調査の結果、リスキリング施策の実施率は依然として約40%の水準を保っており、大企業に至っては約60%がリスキリング施策を実施しています。また、リスキリングで特に重要視されているスキルの上位に「ITプロジェクトマネジメント」や「セキュリティ」、そして「AI活用(Chat GPT等)」がランクインしており、これらのスキルが企業のデジタル化においていかに重要かを示唆しています。
実施企業の約70%がリスキリング施策の成果を実感しており、特に「情報システム・ITシステム」が最も多くの対象部門として挙げられています。生成AIの活用に関しても公的環境が用意されている企業の89.4%が既に生成AIを業務で利用しており、その結果として78.5%がリスキリングの成果を実感しています。
具体的な企業の声
調査内容には、参加企業からの具体的なフィードバックも反映されています。多くの企業がリスキリング施策を通じて業務の効率化や従業員のモチベーション向上を実感しており、AIの活用を取り入れることで更なる成果を引き出しているようです。
例えば、ある大手企業では、ITプロジェクトにAIツールを導入することで、プロジェクトマネジメントのスキルを新たに習得させるプログラムを実施。これにより以前の業務運営よりも格段に効率化が進んだとの報告があります。
同様に、中小企業においてもリスキリングを通じて新たな業務に従事できる人材が増えてきており、特に製造業界では84.4%がリスキリングにおける成果を実感。新たな生産性の向上がもたらされています。
リスキリング成功の要因
パーソルイノベーションの代表である柿内秀賢氏は、リスキリング成功の鍵として以下の要因を挙げています。
1.
経営主導のリスキリング: 組織のビジョンを明確にし、全社的に取り組むことが重要。
2.
目的明確化: 施策の目的を明確にし、従業員に理解してもらう。
3.
資源の適切配分: リスキリングに必要なリソースを確保し、適切に配分する。
4.
成果の評価とフィードバック: 結果の評価を行い、次に生かす。
5.
学習者のサポート環境の整備: 学びやすい環境を整えることでリスキリングを促進する。
結論
リスキリングと生成AIの活用は、業務において欠かせない要素となりつつあります。企業がデジタル化を進める中で、新たなスキルを習得することは避けられない課題であり、その取り組みが成果に結びついていることが今回の調査から明らかになりました。リスキリングを成功に導くためには、明確なビジョンと計画的な取り組みが必要です。これからますます重要性を増すリスキリング施策の動向に注目です。