持続可能な航空燃料製造に向けた基本合意書の締結
阪急阪神不動産株式会社をはじめとする数社は、廃食用油を原材料とする持続可能な航空燃料(SAF)の製造事業に関する基本合意書を交わしました。このプロジェクトは、環境保護を目的に廃棄物をリサイクルする取り組みであり、遊び心満載なネーミングの「Fry to Fly Project」にも参加しています。
プロジェクトの背景と目的
SAFは、化石燃料を使用せずに製造される航空燃料です。特に、100%の廃食用油を原料とするSAFは、従来の航空燃料と比べてCO2排出量を約80%も削減できるとのこと。国際民間航空機関はCO2排出量の削減目標を定めており、持続可能な燃料の導入が急務となっています。これに応じて、経済産業省と国土交通省も官民協議会を設立し、SAFの普及を促進しています。
各社の役割について
阪急阪神不動産は、分譲マンション「ジオ」の入居者から集めた廃食用油を提供します。阪急阪神ホテルズは、直営ホテルで排出される廃食用油をSAF製造に活用するとのことです。地域連携を通じて、環境価値の啓発にも取り組む計画です。
日揮ホールディングスは、サプライチェーンの構築に携わり、レボインターナショナルは廃食用油の回収を担当します。合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが実際のSAF製造を行い、一連の製造プロセスを支える体制が整えられています。
合意書締結の経緯
阪急阪神不動産は2011年から廃食用油の回収を行っており、すでに42,000リットル以上の廃食用油を集めてきました。その長年の実績を背景に、レボインターナショナルとの関係が深まり、今回の合意に至りました。ジオブランドの物件数も首都圏に拡大し、さらなる回収促進を計画しています。
また、阪急阪神ホテルズが廃食用油の再資源化を進めており、現在までに直営ホテルから267,000リットル以上を回収しました。これにより、バイオディーゼル燃料の原材料としても利用されています。
SAF製造の進展
日揮HDとレボインターナショナルはコスモ石油と協力し、国内での廃食用油の収集からSAFの製造、輸送、供給に関連したサプライチェーンを構築しています。2024年12月には大阪府堺市内にSAF製造装置が完成し、2025年4月から供給を開始予定。このSAFは国際的な持続可能性認証を取得し、安心して利用できることが期待されています。
「Fry to Fly Project」とは
「Fry to Fly Project」は、家庭や店舗で発生する廃食用油を航空機の燃料として活用することを目指すプロジェクトです。日揮HDが事務局を務め、212の企業や自治体がその趣旨に賛同し参加しています。この取り組みは、資源循環と環境保護の観点からも注目されています。
今後もこのプロジェクトが、持続可能な社会実現に向けた重要な一歩となることでしょう。