強皮症患者の声をカタチにした「受診ガイドブック」がPASE AWARD受賞
2024年6月、強皮症患者会Linkageが取り組む「強皮症 受診ガイドブック」の制作事業が第7回PASE AWARDで受賞しました。この受賞は、患者さんの治療体験を向上させ、医師とのコミュニケーションを円滑にするための重要な成果です。
「強皮症 受診ガイドブック」について
「強皮症 受診ガイドブック」は、患者が受診時に何を話すべきか悩んでいる現状を受け、本プロジェクトが立ち上げられました。患者さんの治療満足度を高めるために、実際に10人の患者さんからの聞き取り調査やワークシートの試用が行われました。それにより、以下の内容が盛り込まれています。
- - 受診時の質問事例集
- - SDM(Shared Decision Making)体験談
- - 自己理解のためのワークシート
さらに、ガイドブック完成後には、厚生労働省強皮症研究班によるWebセミナーも予定されています。これにより、患者さんは医師との対話が円滑になり、治療に対する自信を高めることができるでしょう。
制作の背景
2024年6月に行った調査では、強皮症患者の約半数が治療に対して満足していないという結果が出ました。この結果を受け、患者が「自分の状況を理解できない」「医師とのコミュニケーションが不足している」といった問題を抱えていることが浮き彫りになりました。この悪循環を解消するために、患者自身が病気に関する知識や言葉を身につけ、医師に自分の気持ちを正確に伝えられるようになることが必要です。
Linkageの代表、桃井里美さんは、受診準備や手順を示すガイドブックがこの医療環境を改善する手助けになると信じています。Linkageはこのプロジェクトを通じ、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の患者団体支援プログラム「PASE」に応募し、評価を受けた結果、受賞に至りました。
ピアハーモニーの支援
Linkageの活動を支えているのが、株式会社ピアハーモニーです。この企業は、LINEオープンチャット「強皮症患者さんのピア相談室」の運営を通じて、患者同士が経験を共有し、支え合う場を提供しています。また、病気の実態把握やモニター募集を行い、ガイドブックの製本化、完成記念のWebセミナーの運営支援を無償で実施しています。患者のニーズに寄り添う取り組みは、強皮症患者の生活の質を向上させるための重要な礎です。
授賞式の様子
受賞式にはLinkageの桃井代表と杉山氏が出席し、受賞のトロフィーを手にしました。また、翌日には東京で開催された強皮症ピアカフェにて、感謝の意を込めた花束を贈呈しました。桃井代表は、この受賞を「患者の困りごとを解決するための活動が評価されたことは大きな励みです」とコメントしました。この経験を通じて、さらに多くの患者にとって最良のサポートが提供されることが期待されます。
Linkageとその活動
Linkageは、2024年6月に設立された強皮症患者会で、患者とその家族をサポートしています。全国各地で「ピアカフェ」などの交流会を開催し、数百人の患者が参加するLINEオープンチャットでは、豊富な経験と情報が蓄積されています。Linkageは、患者同士の学びや医療者との連携を強化し、より良い医療環境を目指しています。また、厚生労働省強皮症研究班との協力や治験への参加を通じて、医療の課題解決にも取り組んでいます。
今後の展開として、2025年6月には「強皮症 受診ガイドブック」の完成を予定しています。このガイドブックが患者さんにとって、受診時の不安を軽減する一助となることを期待しています。