金融庁、自己資本比率規制の改正案を公表 - リスク管理強化の取り組みへ
金融庁が自己資本比率規制を改正へ
令和7年1月20日、金融庁は「自己資本比率規制(第1の柱・第3の柱)に関する告示の一部改正案」を公表しました。この改正は、銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行の保有資産に対して自己資本の充実度を評価する基準を見直すものです。
主な改正の背景
本改正案は、昨年7月にバーゼル銀行監督委員会が提示した国際合意文書「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)に係る金利ショックの水準再調整」を受けており、金融リスク管理のさらなる強化を図るものです。具体的には、金利リスクの計測に用いる金利ショックの水準の再設定や、マーケットリスク計測手法に関する経過措置の見直しが行われます。
バーゼルⅢに基づくこの改正は、金融機関におけるリスク管理の強化と透明性の向上を目的としています。
改正内容の詳細
改正案の具体的な内容は以下の通りです。
1. 銀行法第十四条の二に基づく基準の改正
- 銀行が自己資本の充実状況を適切に判断するための基準が見直されます。これにより、金融機関はその資産とのバランスを考慮しつつ、より効果的な資本管理が求められます。
2. 最終指定親会社とその子法人に関する基準
- 最終指定親会社やその子法人が保有する資産に照らし、自己資本の充実状況を適切に評価するための基準が設定されます。
3. マーケットリスク計測についての改正
- 金利リスクの評価手法や、追加の経過措置についても見直しが行われ、マーケット環境の変化に対する柔軟性が期待されます。
改正案は、平成29年12月に合意されたバーゼルⅢの最終規則文書を基にしており、今後の金融環境に即した法整備が進められることになります。これに関連する告示は、すでにいくつかが公表済みであり、今後も様々な業態にわたる改正が行われる予定です。
公表された改正案の意義
この改正案の意義は、金融機関の健全性をより高めることにあります。銀行や他の金融機関は、自己資本比率の規制強化によってリスクを適切に管理し、より安定した運営が可能となるでしょう。また、これによって市場全体の信頼性が向上し、日本経済の安定に寄与することにもつながります。
意見募集について
改正案に関する意見は、令和7年2月18日まで募集されています。意見を寄せる際には、氏名や連絡先を明記することが求められます。この意見募集は、金融庁が民間の意見を取り入れるためのものであり、関係者や一般市民からの幅広い意見が期待されています。
今後、金融庁はこうした意見を踏まえて改正の最終決定を行う予定です。リスク管理の重要性が増していますが、今回の改正によってどのような変化がもたらされるのか、注目が集まります。