世界の消費者信頼感が横ばいの理由とは?
世界最大の世論調査会社、イプソス株式会社が提供する「イプソス世界消費者信頼感指数」の2025年7月版が発表されました。この調査は日本を含む30か国、21,000人以上を対象に実施されており、世界の消費者心理を測る重要な指標とされています。今回の調査結果は、先月からわずか-0.1ポイントの変動で、総合指数は48.1を記録しました。この状態は昨年同時期とほぼ同じ水準を維持しています。
調査の背景と方法
「イプソス世界消費者信頼感指数」は、イプソスのオンラインプラットフォーム「Global Advisor」を用いて実施され、調査期間は2025年6月20日から7月4日までの間です。また、調査対象者は75歳未満という制限があり、今月のデータは3,000人以上の回答が集められました。
調査の結果、30か国中6か国では消費者信頼感が大きく向上し、5か国では顕著な低下が見られました。しかし、全体的には4つのサブ指数が安定していることが分かりました。
各地域の動向
アジア太平洋地域では、動きにばらつきがありました。マレーシアでは-3.0ポイントの減少、タイも大きく下落しましたが、韓国は+4.8ポイントという大幅な増加を達成し、2018年6月以来最高の値を記録しました。
一方、ヨーロッパでは国ごとの差が大きいことが見受けられます。ハンガリー(+3.1ポイント)、ドイツ(+2.2ポイント)、スウェーデン(+2.1ポイント)はいずれも大きな増加を記録したのに対し、イタリア(-3.2ポイント)およびスペイン(-2.2ポイント)では明顕な減少が確認されました。
消費者信頼感指数のナショナルスコア
30か国中で最高スコアを獲得したのはインドネシアで61.3ポイント、次いでインドが60.9ポイントを記録しました。その他、スウェーデン(56.2)、メキシコ(55.0)、オランダ(53.8)、米国(53.8)、シンガポール(53.4)などの国も50ポイント以上の結果を示しています。
逆に、消費者信頼感が40ポイントを下回っているのは、日本(35.9)、トルコ(34.3)、ハンガリー(36.7)の3か国のみです。
調査の意義と展望
イプソスの調査結果は、消費者信頼感の変化を定期的に把握する上で非常に重要です。特に経済状況や政治情勢が消費者心理に与える影響は大きく、これらの指数は今後の市場見通しにも関係しています。消費者の信頼感が高まることで、経済が活性化される期待が大きくありますが、逆に信頼感が低下することで消費が抑制される可能性も指摘されます。
今後、各国の経済政策や社会情勢の変化を注視し、この信頼感指数の動向を通じて消費者の動きや市場のトレンドを読み解くことが重要です。
このような調査を通じて、消費者の心理をより深く理解し、ビジネス戦略や社会政策に生かしていくことが求められています。